富豪慈善家の性犯罪と怪死…謎の「エプスタイン事件」世界に走る激震

MITメディアラボ・伊藤穣一氏も交流
平 和博 プロフィール

エプスタイン被告は、その寄付先や「人脈」を繰り返し喧伝した。ただ、当事者が否定しているものなどもあり、その実態が不明なケースも含まれている。

財団を通じて寄付を行ったとする大学や研究機関として挙げられているのは、ハーバード大学のほか、プリンストン大学、コロンビア大学、ニューヨーク大学、コーネル大学、ペパーダイン大学、オハイオ州立大学、スタンフォード大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、サンタフェ研究所、ロックフェラー大学、ペンシルベニア大学など。

支援する著名科学者としては、ミンスキー氏やチャーチ氏のほか、英国の理論物理学者、故スティーブン・ホーキング氏や、「クォークの父」といわれるノーベル物理学賞受賞者、故マレー・ゲルマン氏らの名前も挙げている。この中には、2017年のノーベル物理学賞を受賞したキップ・ソーン氏の名前もある。だが、同氏は2006年にエプスタイン被告のカンファレンスに出席した以外の付き合いも寄付もないとしている。

 

「人脈」のキーパーソン

エプスタイン被告はどのように、これらアカデミズムの「人脈」を広げていったのか。キーパーソンとして名指しされているのが、著名な出版エージェント、ジョン・ブロックマン氏だ。

ブロックマン氏は、進化生物学者のリチャード・ドーキンス氏や認知科学者のダニエル・デネット氏、進化生物学者のジャレド・ダイアモンド氏ら、科学分野の名だたる作家たちのエージェントで、その幅広い人脈で知られる。

自らもブロックマン氏とその長男が出版エージェントを務めるという、テクノロジーライター、エフゲニー・モロゾフ氏が、ニューリパブリックへの寄稿(8月23日付)で「エプスタイン人脈」におけるブロックマン氏の存在をまとめている。

出版エージェントのジョン・ブロックマン氏(Photo by gettyimages)

モロゾフ氏によれば、ブロックマン氏のコミュニティの中核は、代表を務めるエッジ・ファウンデーションと、オンラインサロン「エッジ」だという。モロゾフ氏の調べでは、2001年から2015年にかけて、エッジ・ファウンデーションはエプスタイン被告の複数の団体から合わせて63万8,000ドル(約6,760万円)の資金を受けており、寄付金がエプスタイン被告関連のみ、という年も多かったという。

「エッジ」の参加者にはミンスキー氏ら著名な科学者に加え、グーグル創業者のラリー・ペイジ氏とサーゲイ・ブリン氏、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏といった起業家、ブライアン・イーノ氏、ピーター・ガブリエル氏らのアーティスト、ジャーナリストらの名前が挙げられており、MITの伊藤氏、ロイド氏、ハーバード大のチャーチ氏らの名前もある。

モロゾフ氏自身もその一人。そして、ブロックマン氏から、エプスタイン被告との面会を持ちかけられたことがあったが、断った、と明かしている。エプスタイン被告は資金提供を行い、ブロックマン氏は人脈を提供するという関係だったようだ。