「雨傘運動」超えた香港デモ、白色テロ・警察と闘い続ける市民の怒り

開始から80日、自由を求めて続けて…
ふるまい よしこ プロフィール

しかし、「武勇派」の暴力的な警察への抵抗や挑発は、「和理非」にとってそのモットーに反するのは間違いないが、「和理非」の人々も、彼らがそうせざるを得ない状況に置かれていることも理解している。

たとえば、警察が通りがかりの黒いTシャツ姿の人を暴力的に拘束したり、所持品検査を強行して難癖としか思えない理由で逮捕したり、信じられないような出来事がデモ現場以外でも日常化している。11日のデモ現場で逮捕された抗議者のうち31人が拘束後に警官による暴行を受けて病院に送られ、そのうち6人が重傷となっていることも明らかになっている。

また、「武勇派」の中にはローティーンが混ざっていることもたびたび報道されている。ガスマスクにヘルメットをつけた少年少女たちの姿は、まるで香港がどこぞの戦場になってしまったかのような衝撃をもたらしているのである。

実際に現地紙「明報」と香港中文大学の李立峯教授らが空港デモ後に行ったアンケート調査にも、微妙な市民の思いが現れている。

アンケートで「デモ隊の使う武力が過剰」と回答した人は39.5%だったが、同時に「警察の使う武力が過剰」と答えた人は67.7%と、後者が前者を大きく上回っている。さらに64.4%の市民が、同条例改定案への抗議活動が「香港経済に影響している」と考えるものの、その最大の責任は「政府にあり」とする人が56.8%おり、その一方で「デモ隊にあり」はわずか8.5%だったという結果となっている。

さらに、日頃は政治的中立派だったり、特別な傾向を持たないとする人たちだけをとって集計しても、「責任は政府にあり」とする人たちがそれぞれ40%を超えており、デモ隊にその責任を問う人たちは10%台にとどまっている

つまり、ここに至っても市民の逃亡犯条例改定案撤回という主張は、その抗議手段にはさまざまな考え方があるものの、基本的にほとんど揺らいでいないということがわかる。

 

デモ参加を理由に解雇…「白色テロ」が始まった

前稿で、7月21日の元朗駅での無差別襲撃事件が、警察に対する大きな非難を巻き起こしていると書いた。そして今、空港混乱の後で市民に新たな衝撃を生んでいるのが「白色テロ」(体制派による暴力や直接行動)の開始である。

まず、香港のナショナルフラッグであるキャセイパシフィック航空に対し、中国国内の一般航空業務を管理する中国民航局が同社の中国国内線から「非合法デモ」に関わった乗務員を外すように要求、また乗務員リストの事前提出を求めたことで同航空社内に激震をもたらした。そして、ほぼそれに続くようにデモに関わったことを理由に操縦士2人を解雇し、続いてCEOを含む企業トップ2人が辞任した。