8月28日のデモ〔PHOTO〕Gettyimages

「雨傘運動」超えた香港デモ、白色テロ・警察と闘い続ける市民の怒り

開始から80日、自由を求めて続けて…

対話を拒む長官、市民はデモ以外の手段を失った

「みなさん、お疲れでしょう。解決に向けた対話をしませんか?」

8月24日、林鄭月娥・香港行政長官がフェイスブックページにこう書き込んだ。だが、数日のうちについた7万あまりの反応(「いいね」や「怒り」などのアイコン)のうち、「怒り」と「笑い」(文脈から見てあざ笑いと思われる)のアイコンがほぼ6万、コメント欄には市民からの「五大要求、一つも欠けてはならない」という書き込みがずらりと並んでいる。

「五大要求」とは、「逃亡犯条例改定案の撤回言明」「抗議活動に対する暴乱定義の撤回」「デモ拘束者に対する起訴撤回」「一連の事態に関する独立調査委員会の設置」、そして「足枷のない普通選挙の実施」である。だが、フェイスブックで「対話を」と呼びかけたにもかかわらず行政長官はそれらに応えようとするそぶりはまったく見せず、これも結局は従来と変わらない「高みからの呼びかけ」でしかないと市民は冷淡だ。

林鄭月娥・行政長官〔PHOTO〕Gettyimages

また同日、長官が「一部知識人」を招いて開いたとされる面談もその様子が公開されておらず、相変わらずの「闇会議」ぶりである。そうした面談が「市民の声」として利用され、今後の政府の論調の「アリバイ作り」となるのではと警戒する声も上がっている。

対話を拒み、警察による取り締まりを強化するばかりの政府――市民はずっと五大要求を叫び続けてきたにもかかわらず、政府は市民との対話をしようとはせず、抗議活動への対応を警察に任せきりにした。そして警察に与えられた能力はただ一つ、「取り締まり」である。その結果、抗議活動は「取り締まり」の壁にぶつかり、市民はそれに激しく対抗する以外の訴求手段をなくしてしまった――現在起こっている事態を説明するとそういえる。

 

「警察の暴力」を逃れた結果の「空港集会」

8月12〜13日に起きたデモ隊による空港集会は、まさにそんな事態の産物だった。

前日11日に約10ヶ所を移動しながら行われたゲリラデモは、猛烈な警察の武力制圧に直面。警察は衝突後撤退するデモ隊に向けて近距離からペッパー弾を発射したり、地下鉄駅構内に催涙弾を撃ち込んだ。さらには繁華街のチムサーチョイで、衝突が起きていた場所から離れたところにいた女性参加者がビーンバッグ弾の直撃を受け、失明の危機に瀕するほどの重傷を負った。

警察が放った催涙弾はこの日だけで100発以上。それは、ここ1ヶ月ほど煙だらけの街の光景に慣れ始めていた市民も驚愕するほどだった。

そこから翌日、デモ隊は空港へ向かったのである。空港ではそれまで航空関係者による、どちらかというと業界クローズドな集会が何度か行われていたが、警察が介入したことは一度もなかった。さらに空港ならば、海外からの利用客に直接自分たちの抗議活動の正当性を訴えることができ、インパクトも大きいはずだと彼らは考えたようである。