日韓情勢が緊迫している。大韓航空では日韓間の便の運休を進め、日本の航空会社でも使用数の減少を理由に本数減少を検討している。

企業や政府間のことだけではない、韓国で旅行した日本人女性と韓国人男性との間での暴行事件が、一個人のことを超えて「韓国の治安が悪い」という被害者の言葉と共に報じられた。

では、親しく付き合って来た日本人と韓国人の関係はどのようになっているのだろうか。その一例として、娘が韓国に魅了され、毎年数カ月は通っているというスタイリストの中村のんさんが、自身が触れてきた韓国、娘を通じて知った韓国と、娘や友人たちの友情を綴ってくれた。

2000年代になって変化した「韓国文化」への距離

私が若かった頃、海外ロケに一緒に行ったモデルさんが出入国手続きをする際に、実は在日だったということを知る機会が何回かあった。彼女たちの多くは出生を隠していた。そして、まわりも「そこには触れないように」としている雰囲気があった。けれど、そのことについてとりたてて考えてみたこともなかった。それは、社会が生み出していた自然な空気だったから。

友人たちとの会話に韓国の話題が頻繁に上がるようになったのは、映画『シュリ』が公開された辺りからだと記憶している。20世紀から21世紀に変わる頃だ。
『ペパーミントキャンディ』『JSA』といった大作が次々に公開され、『ロスト・メモリーズ』でチャン・ドンゴンと共演した仲村トオルは、韓国映画界でもっとも名誉とされる大鐘賞で、外国人として初の「助演男優賞」を獲得した。

2002年に日韓によるFIFAワールドカップが開催され、2003年から2004年にかけて放映されたドラマ『冬のソナタ』は「冬ソナ現象」を巻き起こし、韓流ブームに火をつけた。
私にとって「近くて遠い国」だった韓国は、エンタメを通して「近い国」となっていった。芸能人たちが在日であることをカミングアウトし、また、下の世代の人たちから、「うちは在日なので」と語られるのも普通のことになっていった。

2004年、東京国際映画祭にゲストとして出演したイ・ビョンホン(写真左)とチェ・ジウ。『アイリス』も『冬のソナタ』も絶大なる人気を博した Photo by Getty Images