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「自分の枠は、決めない」私が派遣社員からディセンシア社長になれた理由

ポーラHD子会社社長、異色のキャリア

株式会社DECENCIA(ディセンシア)。2007年1月に株式会社ポーラ・オルビスホールディングスの社内ベンチャーとして設立された同社の社長・山下慶子さんは、じつは生え抜きの社員ではない。いくつかの会社を渡り歩いた元・派遣社員だった。

「社長になりたいなんてまったく思っていなかった」と明かす山下さんは、なぜ異例のキャリアを切り開くことができたのか? どの会社でも信頼と実績を積み重ねてきた彼女が語る、仕事でチャンスをつかむための心構えとはーー。

取材・文/黒川なお、撮影/白井智

敏感肌ブランド、なのに攻める「ディセンシア」

「敏感肌コスメといえば、単価が大体1000円、2000円くらいのものが一般的だったりします。でも、私たちのブランドは平均で5000円、シリーズによっては8000円くらいの商品がメインです。それでも、美への期待感や独自の世界観に共感して、リピートくださるお客様が多いですね」

こう話すのは、敏感肌専門ブランド「ディセンシア(DECENCIA)」を率いる代表取締役社長 山下慶子さんだ。

ポーラ・オルビスホールディングス傘下の新規事業として、2007年に社内ベンチャーで発足した会社である。

肌に刺激になるものは入れない。

敏感肌コスメといえば、低刺激が前提で、「できるだけシンプル」であることがかつての付加価値だった。

あくまでレスキューコスメであり、しょうがなく使うもの。いまだに、そうしたポジティブではないイメージが残っていたりする。

 

一方ディセンシアは、これまでの敏感肌コスメの印象を鮮やかに一蹴しながら、売り上げは右肩上がりだ。業績を伸ばし続けている。

例えば、ディセンシアの「アヤナス」は、敏感肌コスメなのに、シミやシワ、くすみ等の悩みに積極的にアプローチするエイジングケアシリーズだ。

赤の洗練されたパッケージデザインが印象的で、ゼラニウムとラベンダーの香りも女心をくすぐる。ひと言でいえば、攻めている。

敏感肌コスメなのに、攻め続けているブランドだ。

その証拠に、最近の女性誌のコスメ特集では、一般の高機能性コスメに混じってディセンシアの商品をよく見かける。敏感肌コスメと一般の高機能性コスメが、同じ誌面で肩を並べるというのは、かつては考えられなかった光景だ。

ディセンシアは、それだけ幅広く女性の悩みに応えていて支持を集めているということだろう。

「保守的であれば、たぶん大失敗はしません。でも、例えば時代から少し遅れたり、あるいは他に違うブランドが出てきたとき、ディセンシアからお客様が離れていってしまう可能性は十分にあります。なので、お客様の声を聞きながら、アップデートし続けていくことが欠かせません。これいいねと思ったら、3ヵ年計画を2年くらい前倒しして出すということだって判断としてはあり得ます。そのくらいスムーズな動き方とスピード感はありますね」

まるで、IT企業がサービスを出すような話に聞こえてくる。

実際に、ニュースは尽きない。9月4日には、敏感肌ブランドとしては珍しく、日本のビューティーの本丸ともいえる伊勢丹新宿店に店を構えた。

10月1日には、敏感肌コスメとして初の、シワを改善する効果が認められたオイル状美容液を発売する予定だ。