NHKが〈TVer〉進出で陥る、受信料の「どうしようもない矛盾」

取ったり、取らなかったり…

NHKのTVer参加も、この「諸課題検討会」で出た書類で表明されたことだ。ただしそれは、NHKが民放と仲良くするためでも新聞社を安心させるためでもない。規制改革推進会議に言われたからだ。

首相官邸の命を受けて生まれたこの会議体は、日本産業界のあらゆる規制にメスを入れてきた。2017年には放送業界も対象になり、2018年の第3次答申の中で「ネット配信の共通プラットフォーム」が必要と指摘されたのだ。

総務省は、規制改革推進会議に言われたことは実行せねばならない。だから「NHKのTVer参加」はNHKや民放がやりたいのではなく、その監督官庁が「はいはい、やらせました」と言うために実行されたのだ。そこには「ネットでも受信料を取る」というNHKの意図はない。

ところがこの件は、N国がNHKに対するモヤモヤした空気を盛り上げている最中であるために、そしてそんな空気の中で変な伝わり方をしたために、「受信料を取りたいのだ!」と誤解され、軽く炎上してしまった。

 

これからNHKが陥る「混乱」

とはいえこの先、NHKはネットでの活動について、さらに厳しく姿勢を問われるだろう。

TVerでの番組配信は、すでにNHKオンデマンド(NOD)との間での整合性がちぐはぐになっている。

例えば、「ダーウィンが来た」はNODでも人気の番組のひとつだ。実際、これまでの「ダーウィンが来た」はNODで有料配信されている。しかし、なぜ「クジラの新伝説」に限ってTVerで無料で見られるのだろうか。この回だけNODでも無料になっているが、それなら問題ないと言えるのか。

そもそも、本放送については「受信料を払え」と言っているのに、なぜTVerでは受信料を確認しないのか。今後の同時配信は、本放送で受信料を払っていないと見られないようにするそうだが、なぜTVerではその確認がないのか。同じネット上の無料配信で、受信料を取ったり取らなかったりと矛盾が生じてしまうのだ。

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