NHKが〈TVer〉進出で陥る、受信料の「どうしようもない矛盾」

取ったり、取らなかったり…

ところで共同通信のスクープ(?)は、全国の地方紙が配信して記事にしたのでかなりの波及効果を持った。見ていて少々、過剰反応に思える。

この「NHKに対する新聞の過剰反応」は、ここ数年「放送を巡る諸課題に関する検討会」の周辺を取材してきて、ずっと感じていた不可思議な現象だった。だんだんわかってきたのだが、新聞社はNHKが本能的に嫌いなのだ。だから私は、新聞社がNHKについて書いた記事は、そのまま受けとめずに裏を読むようにしている。

 

NHKにネット進出してほしくない

「放送を巡る諸課題に関する検討会」は2015年に総務省の仕切りでスタートしたもので、タイトルとは違って、実際には「NHKの同時配信を巡る諸課題」についての会議だ。

この会議で延々、延々議論し、何をテーマに話しているのか途中でわからなくなりつつ、ようやく昨年度に出た結論が「NHKの同時配信を織り込んだ放送法改正へ進む」ことだった。大筋そうしましょうと始まったはずの会議体で、このシンプルな結論が出るまでに、3年半もかかった。ずっと傍聴してきて、私はこの結末に思わず苦笑いしてしまった。

そして、このたるーい会議に何かと茶々を入れてきたのが新聞だ。例えば、ある回で民放キー局幹部が意見を求められ、NHKの同時配信に警戒感を示すような見解を話すと、すぐさまネットで新聞社が記事を配信する。「NHK同時配信に民放猛反発!」といった見出しが飛び交う。

たしかにその時、民放幹部は「いかがなものか」的なことは言っている。それはまちがいないが「猛反発」は大げさだ。現場で傍聴していた身からすると、「誇張」と言っていい表現だ。

中には、NHKとの連携を示唆する民放幹部もいたのにその発言は記事になく、「いかがなものか」と言った内容だけが記事に書かれる。あからさまな印象操作が平気で行われるのに呆れ果てた。

核心を言おう。新聞は、民放の名を借りて、自分たちがNHKのネット同時配信に反対したいのだ。

NHKがネットで同時配信を始めると、NHKの速報性が増し、新聞社にとっては直接のライバルになる。それが本能的に嫌なのだろう。ネットの時代にただでさえ自分たちの存在価値が薄くなってきた中、NHKまでネット上に進出してきて欲しくないのだ。

実際に一部の新聞社は、このテーマで何度も解説記事を書き、反対の論陣を張っていた。それはいいだろう。新聞社がNHKに対して意見を言ってもいい。だが、事実を誇張するような記事を出している様子を見ると、ああ感情的になっているんだろうな、としか思えない。実際、新聞社の反対論はどれもツッコミどころが多く、論理性に欠けるものだった。

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