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NHKが〈TVer〉進出で陥る、受信料の「どうしようもない矛盾」

取ったり、取らなかったり…

「TVer参加」報道が茶番である理由

8月26日、NHKがTVerで一部の番組の配信をスタートした。

26日14時に並んだのは「ダーウィンが来た!」「みいつけた」(2本)「チコちゃんに叱られる!チコっとだけスペシャル」「ハートネットTV」(2本)「バリバラ」。大河ドラマや朝ドラはなく、子供向け番組と福祉番組、自然番組に、人気のチコちゃんのショートバージョン。「本気のラインナップ」ではないということは、誰しも感じるだろう。

大した話ではないが、8月2日、なぜかこれを共同通信が正式発表前にスクープ調で報じた。「NHK、TVerへ参加 今月にも8番組程度で」。いかにも「いま判明した驚きの事実!」といった体でニュースが配信された。そして、大した話ではないのに、世の中はなぜか騒然とした。

それは「なに?NHKはTVerでも受信料を取るのか?」「NHKの料金徴収に民放が加担するのか?」と身構える人がいたからだ。

 

何しろいま、N国こと「NHKから国民を守る党」がNHKへの警戒感を煽ることに大成功している。N国が毎週のように話題を振りまくことで、NHKに対するネガティブな風が吹き荒れているのだ。

NHKもよせばいいのに「受信料と公共放送についてご理解いただくために」という文書を配信してミニ番組まで放送し、自ら火に油をそそぐ始末だ。N国の手の内に乗ってしまっている。

そんな中でスクープ風に「NHK、TVerへ参加」と記事を出せば、炎がさらに燃え盛る。しかも、この記事にはなぜか「無料配信」がまったく書かれていなかった。共同通信はこの「スクープと言えないスクープ」が、あらぬ誤解をもたらすことがわからなかったのだろうか。

誤解が誤解を生んだ挙句「NHKがTVerでの配信を決めたのは、N国の攻撃に対し民放に味方になってもらうためだ」というトンデモ記事まで出てくる始末(「史上最低大河「いだてん」に狙いを定めるN国にNHKは真っ青」日刊ゲンダイDIGITAL、8月21日)。

NHKは3月、すでに「放送を巡る諸課題に関する検討会」の場で、TVerでの番組配信を表明している。だから日刊ゲンダイの記事は完全な勘違い、まったくの誤報と言える。

ことほど左様にNHKのネット配信についてはいま、誤解の素、炎上の発生源になっている。変な伝え方をするマスコミも、誤解して炎上する様子もはたから見ていて苦笑いするしかない。