ウーマン・リブの伝説的なリーダーと聞いて、私は強くて、厳しくて、下手なことを言うと怒られるんじゃないかとさえ思っていた。たぶん一般の人がフェミニズムに対して抱いているような、「ちょっと怖そう」というイメージ。しかし、実際の田中美津さんは全く違っていた。タダ者ではないオーラをまとってはいたけれど、小柄で、飄々として、おおらかな笑顔。「あなた、どこかで逢ったことない?」初対面のその気さくな一言でいっぺんに魅了された。

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しかしインタビューはNGだった。「悪いけど私いま、昔話をしている余裕はないのよ」。田中さんはその頃、「沖縄の基地問題の根源は、本土の無関心にある」と確信して、辺野古や高江で座り込みに参加するツアーを立ち上げたばかりだった。ウーマン・リブがなんで今、沖縄なのか?そのこともすごく気になったが、まずは現代史の番組をまとめなければならない。しかもウーマン・リブは、これまでテレビでまともに取り上げられたことがないテーマだった。鬼のような一念で口説き続け、会うこと4度目にしてやっとOKが出た。

のちに田中さんは語っている。

吉峯さんがあまりにしつこいから、断るより受けた方がラクだと思った

田中美津さん(写真左)と吉峯さん 写真提供/吉峯美和

女性解放は、「女らしさ」を
捨てることではなかった

ようやくこぎつけた自宅でのインタビューで、「田中美津」の今も古びない言葉の力に驚かされる。

ウーマン・リブは権利獲得運動ではなく、「女らしさを生きることは自分を生きることにならない」と気づいた女たちの決起だったと言う。

「私を救いたい、私が解放されたい、私からの出発。可哀そうな誰かや差別のために頑張るのではなく、私のために頑張ることが世の中全体を変えていくことにつながるんだ」

周囲の眼から見た自分ではなく、ちゃんと“私”を生きていますか?
たしかに運動というよりは、普遍的な思想哲学ではないかと感じた。