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リクルートが、日本人の人生すべてを握る「恐怖の企業」と化す可能性

「超巨大データ企業」への変貌

就活情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、サイトに登録した就活生の内定辞退率を企業に販売していたことが物議を醸している。学生の同意なしに人工知能(AI)で情報を分析して、具体的な個人に紐付いた情報を提供していたことが個人情報保護法に抵触するという点が問題となった。

ただ、関係者の間では「リクルートの潜在力からすれば、内定辞退率どころではなく、結婚や転職などの過去のデータから『ある会社で過去に実績をあげた人』や『採用すべきでない人』などいくらでも『企業に有利』な情報を提供できる」との声が上がっている。その驚愕の実態とは――。

 

約8000人に無断で個人情報を使用

リクルートキャリアは2019年3月から7月末まで、リクナビに登録した就活生の閲覧履歴などから各企業ごとの「内定辞退率」を算定。学生の氏名を特定した状態で、企業側に他の支援サービスと合わせて年400万から500万円で提供していた。

前年度に応募した学生の履歴データなどと合わせて分析し、今年度の学生の履歴データと照合させる形で内定辞退率を算定したという。このサービスを購入した会社はトヨタ自動車、ホンダ、YKKなど大手を含む38社に上る。

個人情報保護法は個人名に紐付いたデータについて、企業が外部提供する際には本人の同意が必要と定めている。リクナビ側は当初、規約利用者の同意を得ていたと説明していたが、約8000人の学生から同意を得ていなかったとして、8月5日にサービスを廃止すると発表した。

リクナビは約80万人の学生が登録する、言わずと知れた業界最大手。企業説明会など、リクナビを使用しないと参加できないものも多く、就職活動では事実上登録することが不可欠だ。企業側もナビサイトに採用活動を依存している現在、リクナビはその最右翼と言える。

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今回の「内定辞退率」のようなデータが求められる背景には、就活での売り手市場の高まりがある。

厚生労働省によると、2019年3月卒業の就職率は97・6%と、調査開始した1996年度以降2番目の高水準。就活生も複数の内定を持った状態で就職活動を行うのが当たり前になっており、企業側からすれば常に「天秤に掛けられる」状態になっている。

1人当たりの採用活動に多額の費用をかけている企業の人事担当者にとって、予定人数を採用できないことは死活問題だ。大手証券で採用担当を経験した社員はこう話す。

「募集サイトの作成、OB・OG訪問やセミナー・インターンの開催など、少しでも優秀な学生に来てもらえるように時間もコストもかけて、やっと内定を出しているのに、『やっぱり入社しません』と言われるのはたまったものではない。仮に『この子は4割の確率で辞退しそうだ』という学生があらかじめ分かれば、内定を少し多めに出したりできる。『内定辞退率』が分かれば、企業からすれば願ったり叶ったりですよ」