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文在寅政権「仰天の決断」で、韓国経済が抱えた深刻なリスク

韓国国内には「不安」が渦巻く

批判→トーンダウン→GSOMIA破棄の不思議

7月1日に発表された「輸出管理厳格化」以降、文在寅大統領は、日本の措置を強く非難していたが、8月15日の光復節の少し前ごろから、いったん批判をトーンダウンさせていた。ところが8月22日、韓国政府はGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を発表した。これは、日韓の関係に大きな亀裂を入れる決定で、日本のみならずアメリカの関係者をも驚かせている。

なぜ韓国はいったん批判をトーンダウンさせたのか、そしてその後、GSOMIA破棄へと向かったのか、なかなかスッキリとした筋道をつけるのは難しいが、この動きによって韓国経済が悪影響を受ける可能性が高いとは言える。GSOMIAが破棄されたからといって、日本政府が追加的な経済措置をとるとは考えられない。

しかし韓国の企業は日韓関係の悪化により追加的な措置が講じられるのではないかと漠然たる不安を持っている。この不安心理的が設備投資の委縮を通じて実体経済の足を引っ張る可能性が高いのだ。

以下では、日本批判のトーンダウンから一転してGSOMIA破棄までの動きについて、経済的な側面から分析を加える。

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経緯を確認しておこう。7月1日に発表されていた「輸出管理厳格化」に関する措置は、(1) 半導体製造に必須な品目を含む3品目を包括輸出許可から個別輸出許可へ切り替える(以下、「3品目輸出管理強化」とする)、(2)韓国のカテゴリー変更(=ホワイト国からの除外)に大別される。

3品目輸出管理強化は経済産業省の通達を改正すればいいので7月4日には運用が始まったが、ホワイト国からの除外は政令改正が必要であり、閣議決定8月2日、7日公布、28日施行と時間がかかっていた、というわけだ。

 

3品目輸出管理強化は、フッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの3品目に限定され、契約ごとに輸出許可が必要となった。ホワイト国からの除外については、明らかに大量破壊兵器の開発などには用いられないもの(食料品や木材など)を除く品目について輸出許可が必要となる可能性が生じる。