# 韓国

戦後最悪の日韓対立で「ある在日韓国人」が心を痛めた「本当のワケ」

「韓国はとんでもないね」と言われても
朴 猿虎 プロフィール

在日コリアンだからできること

だからこそ、私たち在日コリアンは、私たちなりの仕方で、情報発信を続けていく必要があると感じている。両方の立場、気持ちがわかるのが私たちなのだ。

もちろん、同胞の中、また私の家族の中にも、心のなかでは色々と逡巡しながらも、積極的な情報発信は損だという考えの者もいる。日本に軸足をおいて生活する私たちにとっては、日本と韓国と、両方が近い存在なので、どちらにも気を使わなければならないことがある。

なにか政治的発言をしたり、情報発信をしたりすれば、了見の狭い人から石礫を投げられることもあるし、韓国にも問題があるという立場を是々非々で論じる人間(たとえば私のような)には、同胞からも厳しい視線が注がれるときがある。何を話しても損なことが多いのだ。

それでも、やはり私は、在日コリアンだからこそできる情報発信はあるし、すべきだと思う。

 

朝鮮半島出身で、かつ日本に生活基盤を置く私たちにとっては、ぶつかり合う両国の折り合いをつけるのがどんなに困難かは、よくわかっている。

photo by GettyImages

日韓政府の関係が、ほんとうの意味で良好であったことは、日韓合意が果たされた後の軍事政権の一時期(1965年の日韓基本条約締結からの数年)、小渕恵三・金大中の類まれなリーダシップに導かれた一時期(1998年の日韓共同宣言からの数年)しかないことを知っている。

他の時期は、明らかに対立しているか、もしくは関係が良好にみえても、米国という調整者に対する遠慮でそうしているに過ぎないだけか、そのどちらかにであったことを知っている。

しかし、一方で、在日コリアンの多くは、韓国の歴史も学んでいるので、韓国の事情も理解しつつ、大日本帝国が戦争に破れたのちの新生日本が、韓国に歩み寄りをしてきたことも知っている。

在日コリアンは、韓国国民が民主主義を希求し、紆余曲折を経てきたこと、また、歴史的に積層した厚い壁を乗り越え、人権意識を高めていったことを知っている。そして、日本が、戦後の逆コースや反動的な政治家の出現を乗り越え、戦後70年以上にわたり、海外の軍事活動で一人たりとも殺していないことを知っている。

在日コリアンの多くは、両国が築き上げてきた、近代的で進歩的な価値観を理解しているのだ。