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韓国がGSOMIA破棄を決めた根本理由〜外交と相性の悪い文在寅政権

「自律性」重視の国とどう付き合うか

驚きのGSOMIA破棄決定

8月23日に発表された、韓国によるGSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄(延長拒否)の決定は、多くの人を驚かせた。

8月15日の光復節では文在寅大統領が抑制的な演説を行い、表立って日本を批判しなかったことや、その後上海と北京で河野太郎外相と康京和外相が会談し、すれ違いはありながらも対話を継続するというメッセージが交わされていたこと、またアメリカのビーガン特別代表が韓国を訪問しGSOMIAの継続を要請していたことなどもあり、日韓関係だけでなく、米韓関係にも影響を持ちうるGSOMIAの破棄は、さすがの文在寅政権でもやらないだろうというのが概ねの見立てであった。

 

しかし、そうした見立てを裏切り、GSOMIAの延長を拒否しただけでなく、日本の不誠実な態度が韓国の「国家的自尊心」を喪失させるものであったと非難し、日韓の間に信頼関係が失われたとしてGSOMIAを破棄することを決定したと説明した。

また、アメリカからもGSOMIA破棄の「理解を得られた」と説明し、韓国の決定の正統性と妥当性を強調した。ところが、アメリカは、このような「理解」は示していないという立場であり、韓国政府の発表は誤解に基づくものだと述べている。

なぜ韓国は、米韓関係まで傷つけるような結果となるにもかかわらずGSOMIAを取り上げ、ここまでの対応をしたのだろうか。また、GSOMIAを破棄することで日韓関係はどこに向かって行くのだろうか。

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韓国側が「最初から嫌々」だったGSOMIA

これまであまり日韓関係の表舞台には出てこなかったGSOMIAであったが、それが韓国の狙い撃ちの対象になったのは、韓国が元々この協定を嫌々ながらに承認した過去があったからである。そもそもGSOMIAは、2010年代に入ってアメリカが北朝鮮の核・ミサイル開発に関する情報共有を緊密にし、北朝鮮の軍事的な挑発行動に日米韓で対処することを目的として、日韓の間に結ぶことを求めていたものである。

日本は、大きな脅威となっていた北朝鮮の核・ミサイル開発についての情報共有は望ましいものとして、積極的に日韓GSOMIAの締結を進めていたが、韓国国内では事情が異なっていた。韓国にとって、北朝鮮の脅威は核やミサイルではなく、南北の停戦ラインである38度線に配備された通常兵器であり、これらを取り除くことが優先的な課題である。

また韓国は北朝鮮情報をヒューミント(スパイなどから得る人的情報)で得ており、日本やアメリカの衛星情報や電波情報では得られないものを持っているという認識もある。