みずほ、三井住友、三菱UFJ…デキる銀行支店長は何が違うのか?

「脱ノルマ」を実現するためのヒント
浪川 攻

「ウチの銀行はノルマではなく営業目標と位置付けている」と言っても、本部が支店長に、そして、支店長が部下たちに強烈なプレッシャーを掛けて、最悪のケースでは、あのスルガ銀行事件の「達成できなければ、ビルから飛び降りろ」というようなパワーハラスメントを振るえば、もはや、それは営業目標ではない。明らかなノルマである。

 

興味深いことに、「脱ノルマ」の動きは、店舗改革と平仄が合っている。デジタル化による店舗改革に踏み切った銀行ほど、「脱ノルマ」あるいは「目標設定のあり方の見直し」に動いているからである。

たとえば、三井住友は2019年4月、個人向け営業、つまり、リテール部門で個々の営業担当者に課してきた営業目標を廃止した。伊予銀行は、営業目標を営業店の申告制として、その目標をどのような商品販売で実現していくのかは営業店が独自に考えて取り組むという方式に変えている。要するに、上意下達の撤廃である。

そうした動きのなかで、俄然、注目されることになるのが営業現場のトップ、支店長や支社長である。

銀行業界では長年、支店長は「一国一城の主」として、若手銀行員の憧れの存在だった。かつては、支店長の正確な判断力が、資金繰りに苦しむ中小企業を助けて、その後、この企業が成長する道を拓いたというような伝説が語られてきたのも銀行の営業現場である。だからこそ、若手銀行員は支店長に憧れていた。

ところが、その伝説のような話題は近年、薄れかかっていた。時代にそぐわない旧態依然としたビジネスモデルの下で組織が硬直化し、「目先的な目標を必達せよ」という圧力が強烈に増し続けたからである。伝説を生む土壌が干からびつつあったのだ。「上司はなぜ、過剰な営業目標を課す本部の要求を跳ね返してくれないのか」という若手銀行員の嘆きの背景もここにある。

厳しい環境の中でも

しかし、ようやく、「脱ノルマ」の動きが銀行業界で見られるようになった。その理由を一言で論じると、経営が「現場のチカラ」を信じるという発想に変わってきたからだ。これはビジネスの原点でもある。

いうまでもなく、顧客を知り、生きたビジネスを肌で感じているのは現場にほかならない。顧客に精通しない本部が、ビジネスから遠い場所で観念的に考えたマニュアルを作り上げ、営業目標を策定し、マーケティングシステムを運営してきた時代の終わりの始まりと言ってもいい。

そこで、やはり、注目すべき存在となるのが、営業現場の主柱というべき支店長、支社長という人たちなのだ。