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みずほ、三井住友、三菱UFJ…デキる銀行支店長は何が違うのか?

「脱ノルマ」を実現するためのヒント

「なぜ、上司は本部の要求を受け入れてしまうのか」

前著『銀行員はどう生きるか』(講談社現代新書)を上梓して以後、「銀行改革とは銀行員の働き方改革にほかならない」という視点から、営業現場で汗を流す多くの若手銀行員たちと対話を重ねてきた。

ほとんどの人たちが口にするのは日々の悩みだった。たとえば、ある地銀で働く30代の男性銀行員はこう訴えた。

 

「過剰な営業目標に押しつぶされる。絶対に達成できないほどの高い水準であるにもかかわらず、達成せよと命じられる」

また、別の男性銀行員は「なぜ、本部から課される現実離れした営業目標を上司たちは跳ね返してくれないのか」とぼやいていた。

毎月末が近づくと、顧客に頭を下げて投信を買ってもらい、あるいは、必要もない融資枠を設定してもらう。顧客からは「仕方がないな」と言われ、肩身の狭い思いをする。なかには、「君は真面目で協力してもいいが、どうせ、1年後、転勤していなくなるのだろう」と突き放されることもあるという。

結局、顧客は胸襟を開いてくれず、銀行が自負する「問題解決業」とは程遠い毎日を送るしかない。理想を抱いて銀行に入社した者ほど疑問を募らせている。

顧客から相談を受けることがあっても、上司からは「マニュアルを読め」「マニュアルにないことはできない」と一蹴されれば、一挙にやる気が失せる。顧客に「すみません。ご対応できません」と頭を下げるしかない。

いまのデジタル化以前に広がったIT化の波も、銀行に変化をもたらした。しかし、それは、従来型の営業目標と業績評価をさらに精緻化させ、あるいは、マニュアルのペーパーレス化をもたらしただけであり、結局、改革とは異なる従来路線の徹底化にすぎなかった。営業現場は、より走り続けることを迫られて一段と余裕を失ってしまったのではなかったか。

なぜ、上司は本部の要求を受け入れてしまうのか

若手銀行員のこの言葉は、本部が上で現場が下という構造のなかで上意下達に凝り固まっている銀行の実態を物語っている。

しかし、本来、世の中の変化、顧客の動向を最も察知できるのは現場である。上意下達はマクロ経済が自然と高く成長した時代には効率的だったかもしれないが、成熟社会のなかでは、組織の硬直化を生み出している。

上意下達を撤廃する動き

とはいえ、この本丸にも、ようやく、改革の波が押し寄せ始めている。それが「脱ノルマ」の動きである。

営業目標とノルマの違いを仕切るのは、その達成へのプレッシャーと人事評価である。