リクナビ「内定辞退予測」が踏みにじった、採用活動の本質

いい人財は集まる会社はここが違う
酒井 利昌 プロフィール

そのようななか、人事労務分野においてAIやデータを活用する手法が「HRテック」と呼ばれ、近年注目が集まっています。

 

HR(Human Resources)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語です。
金融とテクノロジーを掛け合わせたFinTech(フィンテック)、教育とテクノロジーを組み合わせたEdTech(エドテック)のように「○○テック」と冠したサービスが、この数年で著しい発展を遂げていますが、「HRテック」はテクノロジーの活用によって人材育成や採用活動、人事評価などの人事領域の業務の改善を行うソリューション群を指しています。

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今回問題となった、内定辞退予測のサービス「リクナビDMPフォロー」もHRテックの一つとして認識され、採用業務の効率化を図るサービスとして販売されたものと言えます。

今こそ、採用活動の本質を考えるとき

しかし、いくらテクノロジーが進化しても、本質から外れたことは許されません。

今回の「リクナビDMPフォロー」の問題は、個人情報保護法、職業安定法にそれぞれ抵触する疑いもあります。

私は法律の専門家ではありませんから、違法かどうかの観点はその道の専門家に委ねますが、採用の専門家として、はっきりと申し上げます。

これは、明らかに採用活動の本質から外れたサービスです。

企業が採用するということは、目の前の学生や求職者の人生を「預かる」ということ。

そのため、採用活動とは、「学生や求職者の人生の目的を知ったうえで、自社に入社することで得られる価値を伝える活動」でなければなりません。

選考プロセスのなかで、相手の人生の目的を知り、自社に入社することでそれが実現できる可能性を伝えることが採用活動です。

内定者に対するフォローにあっても、その基本スタンスは変わりません。

内定者自身の頭の中を一緒になって整理し、大事な進路を決める手助けをするという姿勢をしっかりと持つことこそ、企業側に求められる基本姿勢です。

企業が学生のことを理解する姿勢を持ち、信頼関係を築いていくプロセスの最後に得られるのが「内定承諾」という結果です。

これが採用活動のあるべき姿であり、採用活動に求められる本質です。