# 恐竜

日本発の新種恐竜!カムイサウルス・ジャポニクスはどこが新しいのか?

「神トカゲ」の迫力を体感せよ

全長8メートルのカムイサウルス・ジャポニクス(直訳すると「日本の神トカゲ」)。これまで「むかわ竜」の通称で親しまれてきた恐竜が新種と認められ、正式な学名がついた。2003年に北海道むかわ町で尻尾の骨が発見されて以降、様々な幸運が重なって全身の8割以上が発掘された恐竜だ。

この化石には、これまで命名されたどの恐竜とも異なる特徴があった。つまり「新種である可能性」に最初に気がついたのは、発掘の陣頭指揮を執ってきた北海道大学の小林快次教授(47)。カムイサウルスの名付け親でもある。

海外のフィールドを飛び回り、化石を見つける目の確かさからファルコン・アイ(ハヤブサの目)の異名を持つ研究者で、恐竜好きの子どもたちからは「ダイナソー小林」としても知られる。

プロフェッショナルとしては「新種」の可能性に気づいても、軽々しく口に出すことはできない。研究に打ち込みつつ可能性を探ってきた心の内を、小林氏の新著『恐竜まみれ――発掘現場は今日も命がけ』から紹介しよう。

11年かかって現れた「全身」

2014年10月10日。私は緊張気味に、穂別町民センターのテーブルに座っていた。

隣には、竹中喜之(よしゆき)町長も座っている。目の前には、これまで一緒に頑張ってくれたむかわ町の人たちが座り、そして多くの報道陣がカメラを構えていた。

今から、頭骨の一部を発見したことを公式報告するのだ。

 

「それでは記者発表を始めます」

司会は、むかわ町穂別博物館櫻井学芸員が務める。これまでの発見の経過をおさらいするようにパネルを使って説明する。そしていよいよその時はきた。

「皆様、お待たせしました」

日本の恐竜研究史を変える大発見を伝える緊張とここまでたどり着いたという感動で、私の声は震えている。

そして、私の〝賭け〟を信じてくれた同志たちに対する感謝の気持ちでいっぱいだった。

町長と一緒に、布をめくる。一斉にたかれるカメラのフラッシュで、会場が一気に明るくなる。

「これが、頭骨の一部です」

恐竜発掘には途方もない時間と多額のお金がかかる。このむかわ竜も例外ではない。

最初に尻尾が発見されたのは、じつは2003年。その後、2011年までむかわ町穂別博物館の収蔵庫に眠っていた。

その後は発掘の準備に1年、発掘そのものに2年。最初の発見から11年もかかっている。

そして、この恐竜には「むかわ竜」の通称がむかわ町によってつけられた。

むかわ竜の全身骨格