中国「超先進的電子マネー社会」の光と影〜一方、日本は何周も遅れ…

個人経済行動がすべて信用スコアに集約
野口 悠紀雄 プロフィール

比較にならぬほど遅れる日本

日本では、電子マネーの普及が遅れている。

政府はキャッシュレス決済の比率を2025年までに40%に引き上げる目標を掲げているが、実際は20%程度だ(キャッシュレス、推進協議会)。

ポイント還元策と関連してようやくQRコード決済の電子マネーが使われ始めようとしている段階だ。ところが、セブンペイ問題で躓いてしまった。セブンペイは不正利用問題のために、9月末のサービス停止に追い込まれた。

QRコード統一化も 、もたついている。

ペイペイとLINEペイは、QRコード統一規格への参加を見送る方針を固めた。

ペイペイはアリペイと連携しているし、 LINEペイはウィーチャットペイを加盟店のQRコードで利用できるようにしたためだ。

 

日本でも信用スコアリングは始まっているが……

信用スコアリングは、日本でも始まっている。

J.Scoreは、みずほ銀行とソフトバンクの合弁会社が提供するサービスだ。年齢、性別、学歴、勤務先の業種と職種、正社員か、持家か、などの情報を入力し、AIによってスコアを判定する。これによって融資の金利が決まる。

LINE Scoreは2019年6月にリリースされたサービス。年齢、性別、未既婚、子供の有無、住居タイプ、職業、業種、会社規模、年収、社会保険の種類などの情報をアンケートによって取得し、これとLINEプラットフォーム上での行動特性からスコアリングを行なう。これによって、融資額上限や利率が決まる。

どちらも、電子マネーの利用履歴という強力な客観的データ を用いるものではない。主として利用者からの申告情報を用いる。しかし、こうした情報について、自分に有利になる虚偽情報が申告されていないかどうかをチェックできるのだろうか?

そもそも、日本では電子マネーが普及していないので、ビッグデータとして用いることができる電子マネーのデータがないのが問題だ。

信用スコアリングは、昔からあったものだ。日本では、1998年に、東京都民銀行がクレジットスコアリング型融資を開始し、メガバンクもスコアリング型融資に取り組んだ。しかし、大量の不良債権が発生したため、2006年頃からは各行とも抑制に転じた。新銀行東京では、スコアリング貸し出しによって、巨額の赤字を抱えた。

いま始まっているスコアリングが、このときのものとどう違うのか、わからない。