中国では電子マネーが普及し、ここから得られるビッグデータを用いて個人の信用を測定するサービスが始まっている。
従来借り入れができなかった人々が借り入れられるようになったので、これは、経済発展に大きく寄与する。
しかし、半面において、管理社会化を招く危険もはらんでいる。
日本ではキャッシュレス化が遅れているので、管理社会化の危険はないと考えられるかもしれない。しかし、個人データの不正使用問題は、別の形で生じている。
電子マネーを使わなけば生活できない社会
仕事の関係で頻繁に中国に行くある人から聞いた話だが、中国で仕事をしたり旅行したりする場合、アリペイやウィーチャットペイという電子マネーを使わないと、不便きわまりないので、使わざるをえないそうだ。
あとで述べるように、これによって個人データを収集されることになる。しかし、そうした危険を知っていても、どうしようもないのだという。
中国では、高齢者と子供を除くと、ほぼ全ての人が、上記2つの電子マネーのアプリを持っている。どこの店で買い物するにも、これらが必要だ。
利用者は、アリペイもウィーチャットペイも10億人近い。この2社の2018年の決済額は170兆元(約2550兆円)だ。
日本ではどうか? 日銀の資料によると、2018年の電子マネー決済額は5兆4790億円だ。中国は日本の500倍以上だ。日本にいては想像もできない状況が中国で起きていることになる。