自衛隊「空母いずも」の誕生で、日米vs.中国の対立は危険水域へ

「米中対立」に巻き込まれることになる
半田 滋 プロフィール

「最前線」インド洋、南シナ海へ

この構想を受けて海上自衛隊は、米国とインド2カ国による共同訓練「マラバール」に毎年参加することとし、「マラバール」は日米印の3カ国共同訓練に格上げされた。

3ヵ国共同訓練となって最初の「マラバール」は17年7月、インド南部チェンナイ沖で行われた。中国が提唱した経済・外交圏構想「一帯一路」のうち、洋上の「一路」の途上にあるのがチェンナイ沖である。

 

米海軍、インド海軍とも空母を参加させたことから、海上自衛隊は空母型護衛艦の「いずも」を参加させ、中国の潜水艦を想定した対潜水艦戦などを行った。

昨年は「平成30年度インド太平洋方面派遣訓練部隊」を編成、「かが」のほか、汎用護衛艦「いなづま」「すずつき」の3隻を8月から2ヵ月以上にわたり、インド洋や南シナ海へ派遣した。途中、潜水艦「くろしお」が合流し、南シナ海で初めて対潜水艦戦訓練を行った。

今年4月、海上自衛隊は「平成31年度インド太平洋方面派遣訓練部隊」を編成して「いずも」と汎用護衛艦「むらさめ」を南シナ海へ派遣、5月には米、印、比各海軍との間で、また米、仏、豪各海軍との間で計2回の4ヵ国共同訓練を実施した。

さらに「いずも」「むらさめ」に汎用護衛艦「あけぼの」を加えた3隻は6月に南シナ海で、米海軍の空母「ロナルド・レーガン」を中心とする米空母部隊との共同訓練を実施した。

こうして振り返ると、「専守防衛」の原則から日本近海にとどまっていた海上自衛隊の活動範囲が南シナ海、インド洋にまで広がったことが分かる。17年以降、毎年「いずも」「かが」のどちらかがインド洋や南シナ海に派遣されている。

安倍政権が空母化される「いずも」「かが」を「インド太平洋構想」に活用しないはずがない。自衛隊版のF35Bが届くまでの間、空母化される「いずも」と米海兵隊のF35Bを組み合わせて、慣熟訓練を兼ねてインド洋や南シナ海へ進出するのではないだろうか。

南シナ海は、南沙諸島、西沙諸島の環礁を埋め立てて軍事基地化を進める中国に対し、米国が駆逐艦などを両諸島へ派遣する「航行の自由作戦」を展開する、「米中対立の最前線」である。この海への自衛隊の進出は、米中対立に日本が進んで巻き込まれる意志を示すことと同義になる。

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