マジョリティはそんな悩みと無縁

結果、仕事は想像以上に上手く行き、精神的に家事に追い詰められた記憶もない。しかしマジョリティ陣は私が家事育児をアウトソースするためにシッターさんを手配したり、お手伝いさんや家庭教師、実家の母との連携や連絡、カンタンとは言えパンや人参を買ったり、そんなものとすら無縁で100%仕事に没頭出来る環境にあるケースが殆どだった。

そんなマジョリティ陣がmen’s network 組んでアジェンダは何?と聞きたい。それよりも、マジョリティにはマジョリティの役目があって、それは社会から既にとても大切にされていることに気づくこと。そしてその幸運を生かしマイノリティを助けてあげること。まさにノブレス・オブリージュの世界だ。もちろん参加は任意だけど。

米国でトランプ政権が白人至上主義的な内向き政策を実施したり、欧州ではブレグジットに代表されるように世界中の強者が「自分さえ良ければ論」に走ろうとしている。地球のリソースが枯渇してきているのに、富の再分配が政策として機能してない国が多いからこんな風潮になるのだろう。

しかし私はマイノリティとして、デフォルトでは社会に大切にされない人生を長らく送ってきた(日本では働く女性、アメリカではアジア人)こともあって、今後の移民政策などで私の立場が相対的に強くなることがあっても絶対にノブレス・オブリージュの精神を忘れたくない。職場で男性陣に切望したノブレス・オブリージュ。立場変われば私が考えるべきことになるし、考え続けなくてはいけないことだと思っている。

世界にはいろんな人がいる。職場にも男女の違いだけではなく、様々な事情で相対的な強さ、弱さを抱えることもある。相対的な強さを持つ人がそれを自覚するだけでも、社会は大きく変わるのではないだろうか Photo by iStock


*ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)は恵まれた立場の者はそれに応じて果たさなければならぬ社会責任と義務があるという道徳観。元はフランスのことわざに由来している。

*共働き夫婦が担う家事(炊事、洗濯、掃除)の平均時間(1日)は夫が14分、妻が180分。約13倍の開きがあり、家事関連時間(家事に加え、介護、看護、育児、買い物を含む)は夫が39分、妻が258分で約7倍差。(参照:総務省「社会生活基本調査」2016年)