運動能力が高くなくても活躍できる作戦も

確かに必ずずるいことをする子どもは出てきます。低学年から中学年、高学年と学齢が上がるにつれそういう知恵が働きます。が、ぼくはそれを上回る知恵で召し取ります。そのとき、負けた子どもに向けて放つ決まり台詞があります。
「君が弱いのではない。なぜなら、ぼくが強すぎるから。はっはっは」
子どもたちは地団太を踏んで悔しがります。

本気でやっているからこそ地団駄踏んで悔しがり、大喜びする Photo by iStock

ほとんどの場合、鬼ごっこは運動能力の高い子が有利です。足の速い子、すばしっこい子が勝ちます。すると新たな工夫が生まれます。各チームが大将を1人決める。そして、最後に残るチームが勝ちではなく、相手の大将を討ち取った(尻尾をとるわけですが)チームの勝ちにします。

この大将討ち取りで、一世を風靡した作戦があります。それは「伏兵を置く」。ひとりを木の陰に隠しておいて、相手の大将をそこにうまく追い込みます。木の陰や遊具の陰から現れた伏兵が大将を討ち取れば勝ち。

伏兵役は、運動能力ではなかなか勝てないが、体が小さくて、小回りが利く子が務めます。すると、憎っくき敵将であるぼくを見事に討ち取り、子どもたちの中で一躍ヒーローになります。その子や作戦を考えた子どもを褒めると、みんなが伏兵に対して「あいつ、すげえ」となります。一対一での鬼ごっこは弱くても、人にはそれぞれ役割があることを知ります

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ぼくが入るチームは大抵少ない人数で、5人くらい。10数人のチームと戦います。ここで採用するのは「バラバラ殿様討ち取り作戦」です。

全員が固まらずに、気づかれないように相手の大将を囲み始めます。一か八かのタイミングで、相手の大将を目指して「うわーっ!」と大声をあげて襲い掛かります。敵チームの子たちは自分の尻尾をとりにきたのかと慌てて逃げたり、こちらの尻尾をとりにくるのですが、構わず全員で大将めがけてダッシュするのです。目標が1点に絞られていますし、突然大声で襲いかかられることに驚き、1発目はたいてい成功します。大将がいくら強くても、5人に猛然と囲まれるとあっさりやられてしまうのです。

子どもたちも、作戦が決まり勝つと得意げにお決まりのセリフを言います。
「君たちは悪くないよ。私たちが強いだけ」