人間の複雑性を描いた
カミングアウトのシーン

―あのシーンはきっと観客の誰もが心を打たれるシーンだと思いますが、ほかにも素晴らしいシーンがたくさんありますよね。私の一番のお気に入りは、エルトンが母親にゲイをカミングアウトするシーンです。

〔PHOTO〕映画『ロケットマン』より

タロン:ありがとう! あのシーンについては自分でもよく頑張ったなと思っています(笑)。でもね、脚本がまず素晴らしかった。俳優としてああいった人間の複雑性を描いたシーンを演じるのはとてもエキサイティングなんです。

あのシーンを演じる前にゲイの友人数人にカミングアウトが本人にとってどんなものだったかを聞きました。カミングアウトはゲイ本人にとって、人生における最大の恐怖。自分の家族や友人が自分のことをどう思うか……今まで築き上げた人間関係が一変してしまうか……なんて想像しただけで、怖いですよね。とりわけ、エルトンの母親は彼を愛してくれず、彼自身を否定し続けたんですから。

-AD-

シリアスな中にもユーモア、がエルトンらしい

―あのシーンはとても切ないシーンなのに少しコミカルで、なんとも絶妙な演技でした。物語全体に言えることなのですが、辛い親子関係、失恋や様々な中毒に陥ったエルトンのダークサイドを描いているのに、どこかユーモラスで笑えるシーンもたくさんあります。

タロン:エルトンは音楽界のアイコンだけど、彼も人間で、とても人間らしい物語を抱えていることを人はよく忘れてしまう。だから、ウィットに富んだエルトンの物語を語るときにユーモアは不可欠でした。

ちなみに、僕の家族が映画を観たときに、「タロン、いつものクセが出ちゃってるよ!」と言ったんです。僕と家族の女性たちは母や叔母もみんな、イライラしたり怒ったりしているときに、こんな風にやるんですよ(片方の頬をふくらませて、ふくらませた頬の内側から舌をクイクイと突き出す)。僕も家族にそう言われて気づいたんだけど、そんな無意識のヘンなクセもこの映画にユーモアを与えているのかもしれないね(笑)。