香港デモの陰でうごめく「無責任な外国諜報機関」の存在に注意せよ

米国民主主義同盟とは何か
河東 哲夫 プロフィール

日本に知らせず米中の諜報機関はつながっていた

面白いことは、中国ではCIAやNGOが活動の手を控えてきたのではないかと思われることである。

中国との関係では経済的利益を優先したのかもしれないが――面白いことに、米国との関係が薄い程、その国の人権問題がやり玉にあげられる傾向がある――、1972年ニクソン大統領が訪中して以来、米中の諜報機関の間では協力関係が存在していたとの報道があることが興味深い。

この件について、米国防総省顧問マイケル・ピルズベリーは、2015年11月23日「日本経済新聞」で、1972年のニクソン大統領訪中以来、両国情報機関の間ではソ連の核ミサイルの配置場所等につき情報交換を行なったし、1978年カンボジアに侵攻したベトナムを追い返すべく、協力して秘密工作を行ったこともある、しかし米国は米中秘密協力について日本には一切、教えてこなかった、との趣旨を述べている。

近年、米中関係が対立度を深めるにつれて、米中の諜報機関同士も対立度を深め、米側からは「以前は中国との協力について黙っていて、日本に申し訳ないことをした」という趣旨の言葉さえ聞かれるのである。

 

だからこそ、今起きている香港での事態に、米国がどのくらい関与しているのかは、よく見ておかねばならない。今回、香港住民が立ち上がった動機は純粋だし、彼らには民主政治を実現する能力もあるだろう。

しかしその裏で、このような運動を煽動して、中国政府の足を引っ張ることができればそれでよし、とする勢力も蠢いているだろう。彼らは民主化運動の暴力化をけしかけて中国政府による武力弾圧を招き、それに対して制裁を課すことで、中国を最終的に孤立させようと企んでいるかもしれない。

だから香港情勢の今後を占う方程式には、「住民の民主化希求」と「保守的な中国政府」という2つの変数だけではなく、他にもいくつもの変数を入れないと正しい解は出てこない。