育休中に仕事は…できない

まず、育休を数ヶ月取るとキャリアに具体的にどのような変化が起こるのか、私の体験を紹介したい。

当時の私のように3年などの任期付きの職に就くことは若手研究者にはよくあるキャリアパスであるが、その短い期間内に次の職に繋がる成果を上げるためには、4ヶ月という時間は貴重である。そのため当初私は、育休中も家事や育児の合間に仕事をしようと計画していた。

しかし実際に育休期間に入ると、子供が数分置きに泣くなど不定期に作業が遮られることの連続で、メール1通書くのも難しいという現実が待っていた。そして仕事を進めなければという気持ちは次第に焦りに変わり、家事や育児のひとつひとつがストレス源になっていってしまった。

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そこで私は育休を始めて早々に、1人で育児をしている間は仕事をしないという決断をした。この決断により、心に余裕が生まれただけでなく、子供や家族とより正面から向き合うことができるようになり、仕事に縛られることのない人生観を以前に比べてはっきりと持てるようになった。

意外にも、キャリアにプラスになった

では、仕事をしなかった育休期間は自身のキャリアにとってはマイナスだったのかと言うと、実はむしろプラスになったと私は感じている。

個人差はあると思うが、私の場合、まず仕事をする効率が育休前に比べ劇的に上がった

思えば育休中は、子供が寝たわずかな隙を見て家事をこなし、育児あるあるとしてよく言われるように、トイレに行くこともままならない生活を送っていた。その生活を数ヶ月続けることで、効率よく仕事をこなす能力が自然と身についていたのだ。

育休から復帰後は保育園の迎えや家事・育児のために定時に帰っていたため、1日の労働時間が育休前よりかなり短くなっていたのだが、そんなことは問題にならないほど効率的に仕事が進み、結果として、復帰後の2年間で育休期間を補って余りある成果を上げることができた

また、仕事を効率的にこなせるようになったことに加えて、育休前と違う新しいものの見方ができるようになったのも、復帰後に短い期間で成果を上げることができた大きな要因であった。