N国党が次は「文春砲」「マツコ・デラックス」を狙った恐るべき理由

本当に「日本版トランプ」と化す可能性
真鍋 厚 プロフィール

既得権益層に対する「嫌がらせ」

N国党幹事長の上杉隆氏は8月13日の設立会見で、「トランプ現象の日本での発出」を立花氏に見ていると述べ、既得権益層に対する「一般大衆のいわゆる一揆」との認識を示した。

トランプ氏の武器はTwitterだったが、立花氏の武器はYouTubeだった。恐らくは地道な草の根運動によって掘り起こされた「票田」と、YouTubeによって掘り起こされた「票田」の2つの支持層がN国党を支えていると推測される。NHKに何らかの怒りや不満をわかりやすく抱いている層だけではなく、個人的な不安や鬱屈を解消するための「スペクタクル(見世物)」に飢えた、無党派層も取り込むことに成功しているものと思われる。

 

立花氏に対しては、選挙運動中にヤジを飛ばした男性を追い回して取り押さえ、「私人逮捕」する動画がTwitterなどで拡散され、「カルト」「極右」といった批判も出始めている。だが前述のようなN国党の支持層にとっては、仮にN国党関連のスキャンダルが暴かれたとしても、支持が揺らぐどころか逆に強まる可能性の方が高いだろう。

「見ている風景」がそもそも異なるということだけでなく、この点でも、「N国党現象」と「トランプ現象」は相似形を示しているからだ。

トランプ大統領の支持層は、「トランプ大統領はエスタブリッシュメント(既成の権威や体制)を駆除するための劇薬であり、脅威として存在すること自体に意味がある」と、割と本気で思っているふしがある。

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大統領就任前には世界から総叩きを受けた「トランプ現象」が、今なお決定的に衰える様子を見せない理由は、「トランプがどんなに悪いヤツだろうと、別に構わない。むしろ悪いヤツだからこそ大統領にする意味がある」という支持者のロジックにこそある。それが既存の支配体制への「嫌がらせ」になるからだ。

つまり、「担がれている対象」と「担いでいる人々」の動機付けを最低限切り分けて考えることが重要になる。

もう1つのポイントは、「失われた30年」を経て政治に対する絶望がいよいよ深まるに連れて、個人の意思が国政へとダイレクトに反映される「直接民主主義的なものへの期待感」が増してきたことだ。

「政治家ユーチューバー」という特異な地位にいる立花氏は、「受け手との距離感が近いメディア」であるYouTubeチャンネルを介して、これまで政治が汲み取ることのできなかったある種の「民意」を集約しつつある。