NYダウ「乱高下」が意味すること
今年はアメリカ株の乱高下が目につく年ですが、8月に入ってNYダウ平均株価の乱高下はとりわけ激しさを増しています。
8月1日~23日で300ドル以上動いた日だけを見ても、5日(767ドル安)、6日(311ドル高)、8日(371ドル高)、12日(391ドル安)、13日(383ドル高)、14日(800ドル安)、16日(306ドル高)、23日(623ドル安)と、17営業日中で8日も該当しているのです。
8月に株価の乱高下が常態化している理由は、トランプ大統領が8月1日に、中国に対し制裁関税・第4弾を9月1日から発動すると表明したことを起点にしています。米中首脳が6月29日に会談し、制裁関税・第4弾を先送りし、貿易交渉を再開することを合意したばかりであったので、トランプ大統領の関税発動発言は世界で驚きを持って伝えられました。

さらに状況を悪化させているのは、人民元相場が1ドル7元台に初めて下落したことを受けて、アメリカが中国を「為替操作国」に指定したということです。
アメリカが為替操作国を指定するのは、クリントン政権時の1994年に中国を指定して以来、25年ぶりのことです。トランプ政権の見解では、2018年7月以降に課したアメリカの制裁関税の悪影響を緩和するために、中国は人民元安を容認して輸出を下支えしてきたというのです。
しかしその実態というのは、中国はこれまで7元を超えて人民元安が進まないように、アメリカにかなり配慮してきた経緯があるということです。中国経済の減速によって2016年以降、人民元が7元台に接近する局面が何度かありましたが、中国はその都度に為替介入を行い、明確な意思を持って大台の7元突破を回避してきたのです。
その証拠として、近年の中国の外貨準備が大幅に減少しているというデータが挙げられます。