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「リクナビ内定辞退予測」問題でリクルートOBの僕が伝えたいこと

問題を生んだ「リクルートの変容」
常見 陽平 プロフィール

2010年の秋、リクナビは「7つの約束」というものを発表した。

1.入社後の活躍を期待できる出会いを創造します。
2.若い人たちが働く機会の拡大、ミスマッチの解消に努めます。
3.学業と両立できる就職活動を実現します。
4.就職活動にかかる学生の負担を軽減します。
5.将来を考える学生に、オープンな機会を提供します。
6.産業界が求める人材像を明らかにし、学生、大学に発信します。
7.国を越えた就職・採用活動を促進します。

リクナビは年々、進化している。目に見えない部分を含めてだ。しかし、これらの約束が守られたとは言い難い。いや、これらを過度に実現しようとして「それじゃない」というサービスが生まれてしまったともみることができる。まるで子供の誕生日やクリスマスのプレゼントに自分本位で選んだ玩具のようにズレてしまった。ただ、子供の玩具は何度でも買い直すことができるが、就活はそうではない。

 

最後に、論じきれていなかった論点を。法律と倫理、 リクルートキャリア社とクライアントの問題に切り分けて考えなくてはならない。またHRテックの未来に関わる問題だ。リクルートキャリア社の当初のリリースはいかにも「私は悪くない」と言わんばかりだった。のちのリリースはより丁寧で真摯だったが、業界や同社の未来にも関わる話なので記者会見を開いた方がいいだろう。

もっとも、これは、前向きに捉えるとマッチング精度をあげるための取り組みだった。日本の就活の根本的な問題点である、就職ではなく就社活動となっており、しかも未経験の実務スキルがクエスチョンの若者に対して多段階で基準が不透明な選別を行うことを是正する取り組みでもあった。法律違反や、労働者不在の議論はナンセンスだが、慎重な議論が必要だろう。

就職情報会社の存在意義すら議論されるだろう。このようなリスクを解消するためにもこれらの企業を許認可制にすることを検討するべきだ。

リクルート時代の先輩は「利益、理屈に狂うからリクルート」というオヤジギャグを言っていた。このようなギャグが出ること自体、不謹慎そのものだが、今回の事件もこの体質が影響していないか。

なんせ、いまだに中高年には「リクルート事件の会社」と認識される会社である。私はただでさえ中年でマッチョで茶髪で「あやしい」「うさんくさい」といわれるが、「リクルート出身」という肩書もあいまって「怪しい人」と勘違いされる。

時価総額でも日本のベスト20に入るグループである。コンプライアンスには力を入れてほしい。これは第2のリクルート事件になり得る案件である。

「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」は創業者江副浩正の言葉である。今回の問題を「危機」と捉え、新たな価値創造に向かうことをOBとして期待する。

まあ、最後に強烈なぶっちゃけ話をしよう。HD社長の峰岸真澄氏も、国内のメディア統括会社社長であり、同期の出世頭、北村吉弘氏も、カスタマーを何よりも大事にする人だった。部下にもそう語りかける人たちだった。君たちにはガッカリだよ。

吉弘君は「1兆円企業を目指す」と経営陣が言い出したときに「何のための1兆円か?」とみんなに問いかけた。「もし、目指すにしても、カスタマーの拍手の結果で1兆円を実現したい」とまだ、課長にもなる前に大演説をした。

あれから14年。リクルートは上場し、金の雨が降っている。だけど、カスタマーの拍手はどれだけ鳴り響いているんだい?