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「リクナビ内定辞退予測」問題でリクルートOBの僕が伝えたいこと

問題を生んだ「リクルートの変容」
常見 陽平 プロフィール

この営業の会社からエンジニアの会社へのシフト、営業の仕組み化が、今回のような問題を引き起こしたと私は見ている。顧客にもリスクが及ぶようなサービスがまかり通り、営業の側でのブレーキがかけられなかったのが問題ではないか。

今回のデータ活用については批判が殺到しているが、とはいえHRテックの領域においては「際どい」活用が他社でも散見される。すでに報道されているとおり、AIを活用して書類選考や面接を行うサービスはすでに大手企業でも導入されているし、離職率をやはりAIを使って測定するサービス、企業内での昇進昇格やキャリア形成イメージをシュミレーションする仕組みまである。

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法律違反ともいえるデータ活用だったが、エンジニアからすると「マッチングの精度を上げるのだから、何を悪く言われるのか?」という感覚なのだろう。

リクルートグループではこの10年間、生活者や顧客不在とも言える新サービスが立ち上がってきた。2013年にはリクナビでのOpen ESという共通エントリーシートの仕組みが導入され、大学などへの根回しが不十分なまま推薦状機能というものが導入され、炎上した。一部の大学では抗議声明まで発表された。この一連の騒動は、大学との関係悪化となったし、マイナビが掲載社数、登録者数で1位になる要因となったと語る同社関係者もいる。

他にもHOT PEPPERグルメに掲載された企業のFacebookページが作られるというサービスが立ち上がったこともあり、顧客から疑問の声が上がった。

この問題が起きたことについて、私はこのような同社の構造変化があることを認識している。そして、ややうがった見方ではあるが、エンジニアたちには「悪い」という認識すらなかったのではないか。これが現在のリクルートの姿であり、常識の違いである。これは非常識ではなく異常識だ。

 

リクナビは誰の味方なのか、という問題

かつてリクナビは希望だった。学生と企業の就職・採用活動の手間を軽減することが期待されていた。さらには、企業からの一方通行のものではなく、双方向の就活を目指していた。初期のリクナビの企画書は、理念についての紹介に多くのページが割かれていた。

しかし、結局のところ、大量応募型の就活を加速してしまったことが、同サイトの功罪の罪の部分だろう。人気企業と優秀学生はリクナビを必ずしも使わない。結果、誰のための誰の味方のサイトなのか、ぶれてしまった。

今回の内定辞退率予測のサービスは、リクナビの起死回生の一打だったのだろう。しかし、結果としては終わりの始まりのようなものになってしまった。