# 就活 # リクルート

「リクナビ内定辞退予測」問題でリクルートOBの僕が伝えたいこと

問題を生んだ「リクルートの変容」
常見 陽平 プロフィール

「年間約80万人が登録する」→?
これは事実ではあるが、この数字がどういう意味を持つか、考えてみよう。無批判でこの数字が全国紙各紙に載っていることに注目したい。

日本の就活生の数は文科省やリクルートをはじめとする民間企業が調査しているが、各年度約40万人である。1、2年生なども登録していることが想定される。もっとも、多数の登録数を誇るものの、前述したようにマッチング率や総数の問題を抱えているといえる。

大学ではリクナビやマイナビへの登録会が開かれている。これによりよくも悪くも就活生ほぼ全員が登録するサービスになるが、リクナビなど使わずに外資やベンチャーに就活する層も、消極的な層も登録することになる。

 

「リクナビは、業界を主導する立場にある」→×
 たしかに就職ナビはリクナビから始まった。しかし、いまやシェアにおいては業界を主導する立場にはない。マイナビが追い上げを続け、ついには2015年度からは掲載社数、登録者数においてシェアトップになった。その後も一進一退の攻防を続けている。前述したように、新たなマッチングサービスも立ち上がっている。

私がバンダイで採用担当者をしていた00年代半ばはまさにマイナビとの競争が激化したころだ。これまで高くて価値があると言われるリクナビ関連のサービスの値段が競合を意識して値下げが進む様子を間近で見てきた。

業界を主導する立場だと未だに捉えられているのは、ラッキーだ。しかし、主導する立場どころか、見立てによっては追われる立場にあったことを認識しておきたい。
 
この問題を読み解く際に、まずこのような前提を確認しておきたい。一言でいうと、リクナビは学生「だけ」の味方ではないし、必ずしも大きな影響力があるわけではない。この状態が、今回の事件に関係しているとみるべきだろう。

モーレツ営業会社から、エンジニアの会社に

もう一つ、この問題を読み解く際のポイントは、リクルートが以前のようなモーレツ営業会社から、仕組みの会社、エンジニアの会社に変容していることである。

リクルートについて、バリバリの体育会系や、数々のユニークな武勇伝を持つ人など、営業マンというイメージを持つ人も多いことだろう。実際、リクルート出身者は営業に関するノウハウ本を出版した人、営業コンサル会社を立ち上げた人、その営業力を活かし起業家として成功した人など、同社に対しては「営業の会社」というイメージがつきまとう。

Photo by iStock

しかし、このイメージは同社の実態とはズレている。2010年代なかばの段階で主要事業会社における営業担当者の比率は4割をきっている。もちろん、それでもかなりの絶対数になるのだが、同社はいまや営業力だけの会社ではない。

同社はいまや、エンジニアや、ビジネスプランナーの会社となっている。ITを活用した課題解決、さらにはビジネスモデルづくり、オペレーションの仕組みづくりが同社の強みとなっている。エンジニアの採用は強化されている。

営業は仕組み化され、営業ノウハウなども形式知化され、オペレーションの効率化が進んでいる。悪く言うならば、個々人の創意工夫や努力というよりも、言われたことをそのまま実行する営業になっている。リクルート出身の経営者や人事担当者が現状の営業姿勢に失望するのはこのあたりに要因がある。

人材系ビジネスも仕組み化のにおいを感じる。リクルートキャリア社の社長小林大三氏は経営企画畑が長く、人材ビジネスの経験がほぼなかった。さらには現状のホールディングスの経営陣、国内メディア事業を統括するリクルートの経営陣にも人材ビジネスを実務として経験した人がほぼいない。仕組み、システムへのシフトを感じる。