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「リクナビ内定辞退予測」問題でリクルートOBの僕が伝えたいこと

問題を生んだ「リクルートの変容」

リクルートキャリア社が運営するリクナビが炎上している。事前承諾を取っていない約8,000名の学生のデータを、内定辞退予測に活用していた問題だ。「承諾」の取り方も納得感があるものとは言い難い。このデータを活用するサービスを約38社が購入していた。

「リクナビ」サイトより

この問題については、読売、朝日、毎日、日経が社説で批判している。論点もほぼ同じで、学生を裏切る行為であることや、個人のデータの取り扱いについて問題提起が行われた。

日々、トヨタ自動車、ホンダ、三菱電機、京セラ、NTTファシリティーズ、NTTコムウェア、大和総研ホールディングス、りそなホールディングス、東京エレクトロン、YKK、アフラック、大同特殊鋼、富士ソフト、アイシン・エイ・ダブリュ、テクノプロ・ホールディングス、レオパレス21、コロワイド、さらにはリクルートHD、このサービスを提供したリクルートキャリアなど、このデータを購入していた企業の名前が報道されている。

 

もっとも、日々の報道では「学生のデータを勝手に使うなんて」「リクルートけしからん」論に終始しているように見える。問題の本質に踏み込んでいないのではないか。本稿では、リクルートOBとして、そして日本の就職活動を長年に渡りウォッチしてきた立場として、論じたい。

この問題は、就職ナビ、さらにはリクルートという会社を深く理解することで本質が見えてくる。リクルート自体のビジネスの進め方も変化している。

人材ビジネスに、AIなどを活用したHRテックビジネスならではの問題を含んでいると考える。これまでの報道とは異なる視点で、この問題を読み解いてみよう。

リクナビに対する大いなる誤解

全国紙に掲載されたリクナビ批判は、前提からして事実を誤認している。たとえば、8月14日付の読売新聞朝刊社説はこのように主張している。

「就活サイトは今や、学生と企業を結ぶ基本的インフラといえる。年間約80万人が登録するリクナビは、業界を主導する立場にある。責任の重さを自覚すべきだ。」

完全には間違っているわけではない。ただ、正確だとも言えない。ファクトチェックをしてみよう。

「就活サイトは今や、学生と企業を結ぶ基本的インフラといえる」→×
たしかに、就活生がほぼ全員「登録する」サイトではある。ただ、学生と企業のマッチング手段は多様化している。逆求人型サービスなども台頭しているし、相変わらず大学にくる求人票によるマッチングも根強く残っている。外資系企業や人気企業はリクナビなどに必ずしも掲載をしない。

なお、リクナビがトップシェアだと言われていた00年代前半においても、就活生のほぼ全員が登録するサービスであるにもかかわらず、同サイトを通じて就職が決まった学生は登録者の約3割だった。現状はその影響力が増していることはイメージできない。

誰もが登録するサービスではあるが「基本的インフラ」かというと、その活用度、貢献度には疑問が残る。むしろこの「基本的インフラ」になり得るかどうかの危機感が、今回のようなサービスを生み出したのだと言えないか。

「学生と企業をつなぐ」とあるが、それは何によって成り立っているのかも考えなくてはならない。リクナビの収益モデルは「広告モデル」である。企業は掲載料を払ってサービスを利用する。創業者江副浩正が作り上げたビジネスモデルだ。リクルート社内では「江副モデル」「江副の方程式」と呼ばれる。

「学生の味方」と言われるが、「学生と企業の味方」が正しい。お金の出どころから考えると、企業に寄ってしまう可能性はある。