GSOMIA破棄の衝撃…韓国・文在寅に対抗するには「攻守」が必要だ

国際法vs.歴史認識をどうすればいいか
篠田 英朗 プロフィール

日本は国際法を無視した憲法解釈の運用を数十年にわたって行っている。詳しくは拙著『憲法学の病』などを見てほしいが、これは主に日本の憲法学に内在するイデオロギー的事情による国際法無視・国際法軽視の傾向によって発生している事態である。憲法学通説に、最高裁判決などの裏付けはない。したがって憲法解釈の是正が望ましい。

しかし元徴用工問題に関しては、韓国司法府の判断が確定してしまった。したがって韓国政府を一方的に責め立てるのではなく、具体的な是正策を示唆したり、話し合ったりするのは仕方がない。

具体的には、将来の訴訟を防ぐための韓国国内の立法措置が必要だ。そのためには行政府の財政措置も必要だろう。

また、確定した判決に基づいた差し押さえが発生した場合に、日本がとるべきもっとも論理的な対応は、国家責任法の考え方にもとづいた損害賠償請求である。

民事事件への対応ではあるが、司法府の決定は、国家行為であり、国家責任を伴っているからである。

 

財団設立については、拒絶するのではなく、日本政府が関与しない韓国側の努力としては評価する、という言い方にしていってもよいのではないか。

差し押さえで発生した損害に対応してもらったり、韓国や日本の企業は民間人が参加したりすることに、日本側から見て問題があるとは思えない。

もちろん、韓国がこれらの措置を容易に導入するとは思えない。少なくとも、「心からのお詫び」のような条件を求めてくるだろう。交渉が成立するかどうかは具体策の内容による。だが、重要なのは、そこではない。

交渉が成立しない場合でも、日本が「調整」のための努力をしている、という態度を示すことが、韓国世論に対してだけでなく、国際世論に対して、重要なのである。

「国際法違反だ」とだけ呟くという態度は、世論対策の観点から、望ましくない。「調整」案を説明することは、国際法の観点からは日本の立場が正しい、ということをアピールする良い機会にもなるはずだ。

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