GSOMIA破棄の衝撃…韓国・文在寅に対抗するには「攻守」が必要だ

国際法vs.歴史認識をどうすればいいか
篠田 英朗 プロフィール

国際法vs.歴史認識

日韓関係の緊張度の度合いを見ると、抜本的で即効力のある解決策を見つけるのは難しそうだ。不安定性を引き受けながら、管理方法は見出さなければならない。事態は単純ではない(参照:ネトウヨ批判を存在証明とする「知識人」たち)。

 

日本は、元徴用工問題を、日韓請求権協定違反の問題として捉える。「ホワイト国」からの除外を、貿易ルールの運営の問題として説明する。

これに対して韓国は、元徴用工問題を、日韓請求権協定の対象外となる植民支配の問題だと主張する。

現在のところ、日本と韓国の対立は、国際法を主張する立場と、歴史認識を優先する立場との間の対立という構図になっている。1907年当時と同じである(参照:日韓対立は「国際法vs.歴史認識」日本国内の対立も)。

お互いの立場はかみ合っていない。相手への譲歩は、相手の土俵から発する追加的な問題への直面を意味するので、採用することができないからだろう。

日本からすれば、元徴用工をめぐる韓国大法院判決を認めてしまえば、日韓請求権協定に風穴があき、20万人とも言われる元労働者が日本企業数十社に損害賠償を求めることを許すことになる。

韓国からすれば、大法院判決は国家の威信をかけた歴史認識の問題となってしまったので、その考え方を修正することはできない。

双方が自らの立場を変更することができない以上、状況の管理には、双方が自らの立場を変えることができない、という認識を共有し合うことが、まずは必要である。

両国の間には破壊したくない共有する利益もある。端的には、安全保障問題である。両国ともに米国の同盟国であり、日韓関係の悪化が米国との関係の悪化に波及し、それぞれの同盟体制が危機に陥らせることは避けたかったはずだ。GSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄の余波は大きいだろう。

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