国内外の研究者たちが悲鳴…電子版学術誌の高騰が引き起こす「惨事」

マスコミが報じない危機的状況
清水 洋 プロフィール

資金に余裕がなく、トップジャーナルを購読できない機関の研究者や企業の研究者は、そもそも購読料が高くない国内の学術誌に頼ることになります。国内の学術誌だけが頼りだと、どうしても国際的に最先端でしのぎを削るのは難しくなります。下手をすれば、周回遅れの知識でビジネスをしなくてはならなくなります。

最先端の知識にまともにアクセスができなくなると、たまにまぐれ当たりはあったとしても、高い付加価値を持続的に生んでいくことは確実に難しくなるでしょう。

 

対抗策はあるのか

研究者や大学は、もちろん対抗策を探ってきました。しかし、なかなか上手くいっていないのが現状です。

2012年には、「学界の春(Academic Spring)」と呼ばれる運動も起こっています。これは、数学者を中心とした運動で、エルゼビアが出している雑誌への論文を送ることや査読などをボイコットしようという動きでした。多くの署名を集めましたが、実際にこれによってエルゼビアが出している雑誌への投稿や査読を取りやめたという話は、私の周りでは聞いたことがありません。

また、大学も購読料が高くなってきたことに対して、コンソーシアムなどを組み、集団で粘り強く交渉を続けています。いくらかの価格の譲歩は引き出せてきたものの、しかし、なかなか抜本的な解決策までに至りません。

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そのような中で、注目を集めてきたのは、「オープン・アクセス(誰でも研究成果にアクセスできる状態)」を達成することでした。ただ、これもそう簡単ではありません。

たとえば、オープン・アクセスを達成するために、研究者が自ら“著者最終版”と呼ばれる出版社の編集が入る前の最終稿を、自分のサイトや所属する大学の図書館に誰でも見られるかたちでアップしたりしています。しかし、なかなか上手く行きません。著者最終版はさまざまなところにバラバラにおかれることが多いため(多くの場合は機関リポジトリ)、探すのが面倒だったりします。

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