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物価上昇目標2%に固執して、世界の金利は間もなく「水没」する

「最大の被害者」は、資産運用業と家計

世界的な金利低下傾向

今年の日本の人気映画、新海誠監督の『天気の子』では、3年降り続いた雨で東京全域が「水没」になった世界が描かれている。

実は今や世界の金融市場でも、同じ現象が起きつつある。日欧中心にマイナス金利、「金利水没」の地域が広がり、世界全体の「金利水没」不安が現実となりつつあるのだ。

ここでは、その帰結がもたらす人類未踏の世界は何か考えてみたい。

筆者が金融市場に関心をもった大学生時代の1970年代後半、それから40年余りグローバルな金利動向を見続けてきた。

図表1は当時からの主要国の長期金利推移である。1980年前後、米国中心に2桁の金利水準だった。その背景には「2桁インフレ」と、それに対処しFRBがマネーサプライ管理を徹底したことによる高金利策があった。

その後、1980年代にかけ金利は低下に向かうが、1990年前後に世界的資産価格ブームのなか金利は再び上昇に向かった。日本では1990年に10年長期金利がピークで8%近い水準まで上昇した。

 

ただし、1990年頃を転換点としグローバルに金利は低下傾向が続いた。先陣を切ったのが日本で、世界の金利低下のフロントランナーとなり「日本化現象」と称された。

こうした状況は、日本の1989年を転機としたバブル崩壊以降の「日本化」とも共通する。

今や、日欧の長期金利はマイナス圏に、米国でも2桁あった水準が1%台半ばまで低下した。米国の10年金利は昨年10月に3.2%台を付けたあと、1年も経たないうちに半分以下の水準まで低下した。

ただし、金融市場はこれだけ歴史的にも未曾有の状況にありながら、世の中ではそこまでの意識がないのではないか。その背景には、一般的な景気状況が比較的安定した状況にあるからといえる。それだけに、不気味な状況でもある。

■図表1:主要国の長期金利の推移

(注) 10年国債利回り、(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成