アメリカのカンナビジオール事情

眠れない、食欲がわかない、ストレスを軽減したい、そんな現代人たちの悩みを解決する可能性を秘めるカンナビジオール(CBD)。医療・ウェルネス効果が注目される中、スキンケア商品や内服用のオイルなどが爆発的に増えました。とはいえ、CBD にはカンナビス由来のものとヘンプ由来のものが。今回は、わかりづらい現状を解説します。


広がるカンナビジオールの可能性
――佐久間裕美子

古来から痛み止めや頭痛薬などとして使われてきたカンナビス(大麻・マリファナ)だが、実際に、カンナビスを構成する無数のカンナビノイドの中でも、痛み止めなどの効果を発揮する成分がカンナビジオール(CBD)だということが明らかになったのは90年代後半のこと。それから研究が進んで、抗炎症、鎮痛、制吐、抗不安作用があることが明らかになった。それだけでなく、睡眠治療や食欲を調整する役割を果たすため、現代人たちのウェルネスにも効果が高い「万能薬」として一気にもてはやされる存在になった。

アメリカではカンナビスが合法か非合法かの判断は、基本的に州にまかされている。現状、33州がカンナビスの医療使用を、11州が嗜好・医療使用を合法化している。ひとつ難しいのは、CBDはヘンプ(産業用大麻)の中にも入っているという点だ。カンナビスを禁じている場所でも、CBDが売られているのはそのためだ。基本的に、カンナビスを販売する免許を持ったディスペンサリー(薬局)で売られているのはカンナビスから抽出したCBDで、その他の場所で売られているのはヘンプからとったものである。アメリカでは長らくヘンプの栽培を禁じてきたため、これまで売られてきたのは海外産ヘンプから抽出したCBD。ついに今後は国内でも栽培を認めるという。またたく間に大ヒット商品になったヘンプCBDだが、カンナビスのそれに比べて効果は薄い。カンナビノイドは各成分を分離した途端に効果が薄れるという研究結果が出ているからだ(アントラージュ効果という)。

ちなみにニューヨークでは「まだわからないことが多い」という理由で、口に入れるCBDの販売は一旦禁止になった。そのかわりスキンケア商品やマッサージ・オイルなどの商品が爆発的に流行っている。何にしても、信頼のおけるメーカーが作る、自分の体に合った商品を見つける必要がある。過渡期とはいえ、CBDの可能性はまだまだ広がりそうだ。

※日本において、大麻取扱者以外の大麻(大麻草の成熟した茎及びその製品〈樹脂を除く〉、並びに大麻草の種子及びその製品を除く)の所持、栽培、譲り受け、譲り渡し、または研究のための使用は法律により禁じられています。

佐久間裕美子
ニューヨーク在住ライター。カリフォルニアでカンナビスの医療使用が合法になった1996年に渡米。著書に『ヒップな生活革命』(朝日出版社)、『ピンヒールははかない』(幻冬舎)、『My Little New York Times』(NUMABOOKS)。今夏『真面目にマリファナの話をしよう』(文藝春秋)を上梓。

 
●情報は、FRaU2019年9月号発売時点のものです。
Photograph:Kim Yansu(1、2ページ目)、Yumiko Sakuma(3ページ目) Text:Natsume Minomura(1、2ページ目)、Yumiko Sakuma(3ページ目)