アルファベットが書けない高校生も…日本「教育困難校」の危険な実態

知られざる「底辺校」の現実
佐藤 優 プロフィール

保護者自身が学校から恩恵を受けたという認識がないからこのような態度を取るのであろう。

このような劣悪な勤務環境に長くいると、教員間の人間関係も荒んでくる。

 

<同じ学年に所属している教員は、その学年生徒の授業や生徒指導を主に担当するので、常に一緒に行動することになる。同じ学年の教員は表面的には仲が良いように見えるのだが、その中で存在感の大きい教員が、他の教員を「使える」「使えない」の基準で分別し、「使えない」とされた教員を裏で攻撃する。

筆者が勤務していた高校での判断基準は、荒れた生徒に対して大声で威圧的な生徒指導ができるか、学校に長時間いられるかの2点のみだった。その教員が教科に関して卓越した知識を持っていようと、学校外で素晴らしい活動をしていようと関係ない。

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そうなると、ほとんどの女性教員や学究肌の教員、おとなしい性格の教員は「使えない」部類に入れられることになる。大きなストレスがかかり、その上なかなか効果も見られない日々の生活が憂さ晴らしの対象を求めさせるのだろう。

「使えない」教員たちの存在は、他の教員の自尊心を守るためのスケープゴートのようだ>

教員の間で「いじめ問題」が起きてくるのだ。生徒たちは、教員間のぎくしゃくした関係を敏感に察知する。学校が一層荒れてくるのは当然のことだ。

日本の社会を強化するために、教育困難校に人と金をつけて、状況を改善するための具体的な計画を立てて実行することが焦眉の課題だ。

『週刊現代』2019年8月24・31日号より