医者に睡眠薬を飲まされ続けて失業…精神科「処方薬依存」の恐怖

気づかないうちに依存症にさせられる
佐藤 光展 プロフィール

違法行為をしてまで飲ませる

医師たちの漫然処方は、患者を挫折や貧困に陥らせるだけでなく、医療や福祉の社会的コストを増大させる要因にもなっている。

私が処方薬依存などの向精神薬問題を新聞記事などで繰り返し指摘し始めた10年前、精神科医師の中には、私を「異常者」や「変人」扱いして、漫然処方を平気で続ける医師が目立った。「寝た子を起こすな」という盗人猛々しい声さえ聞こえてきた。

「佐藤という記者は精神科嫌いのカルトだ」とささやき、神も仏も信じない私をカルト信者だと決めつける精神科医もいた。そうした精神科医にとっては、私も「精神疾患患者」に見えているのかもしれない。

 

自浄能力なき精神医療業界――。見るに見かねた厚生労働省は2014年度以降、睡眠薬や抗不安薬などの処方剤数制限(基準を越えると診療報酬を減額)を段階的に行ったり、2017年3月には、適量の薬でも長く飲み続けると薬物依存(常用量依存)に陥る危険があることを薬の添付文書に明記させたりするなど、予防策を強化していった。

すると驚くべきことに、それまで漫然処方を続けていた精神科医までもが、手のひらを返したかのように「睡眠薬や抗不安薬の長期服用は好ましくない」などと講釈を垂れ始めた。

これで薬害が減少するのならば良いが、こうした医師たちは自己保身と逃げ果せることしか頭にない。患者のことなどハナから考えておらず、認知行動療法などの精神療法の技術も持ち合わせないので、従来の薬が使えなくなると別の薬を流用し始めるだけだ。

実際、近年は鎮静作用が強い統合失調症の薬(抗精神病薬)を睡眠薬代わりに処方するケースが増えている。冒頭の会合でも、複数の被害者から「睡眠薬を減らす代わりにセロクエル(抗精神病薬)を追加するケースが目立っている」と指摘があった。

本来、統合失調症にしか使えないはずの薬を不眠症などの患者に処方するため、診療報酬請求では患者を「統合失調症ということにしている」のだ。明らかな違法行為である。

患者に合った良い薬を提供するため、苦肉の策として嘘の病名を書く行為までも否定するつもりはない。しかしこのケースは、処方薬依存の被害者を更に追い込む結果にしかならないのだから、看過できない。

指摘を受けた厚生労働省保険局医療課の職員は「それは違法」「(民事上の損害賠償請求の対象に)なる」と言い切った。抗精神病薬には様々な副作用があり、統合失調症ではない人が服用すると、副作用の危険が更に高まることは言うまでもない。