アメリカ大統領は「次もトランプ」か? 始動した恐るべき再選戦略

2020年大統領選の趨勢が見えてきた

再選出馬を表明したドナルド・トランプ米大統領は現在、米中西部と南部を中心に、月に2回のペースで支持者を集めた集会を開いています。

これまでに筆者は、中西部ミシガン州グランドラピッズ、東部ペンシルベニア州モントゥアズビレ、南部フロリダ州オーランドなどで開催されたトランプ集会に参加し、現地で熱狂的な支持者と一緒に大統領の演説を聞いてきました。

再選を狙うトランプ大統領はどのような選挙戦略を用いて、ライバルの民主党候補を倒そうとしているのでしょうか。集会を通じて見えてきた、最新のトランプ大統領の再選戦略を整理してみます。

 

「民主党=社会主義者」の訴求力

トランプ大統領は8月1日、中西部オハイオ州シンシナティにあるUSバンク・アリーナ(収容人数1万7000人)で大規模集会を開催しました。約1時間20分の演説の間には、支持者が一斉に立ち上がってトランプ大統領の演説に拍手喝采する場面が複数回ありました。

そのなかでも支持者が強く反応を示したのは、トランプ大統領が「米国は決して社会主義国にはならない」と語気を強めて語ったときです。

トランプ大統領は左派的政策・思想に傾いている野党民主党に「社会主義者」とレッテルを貼り、「民主党が次の選挙で政権を奪還すれば、アメリカはベネズエラのようになる」と、警告を発しました。一方で、共和党は資本主義を重視しており、「自由(Freedom)の党である」と強調しました。

筆者はこの時、前から3列目で演説を聞いていましたが、トランプ大統領が「米国は決して」と述ベると、周囲の支持者が文脈を読んで「社会主義国にはならない!」と叫んでいました。それほど、「資本主義(共和党)VS.社会主義(民主党)」の対立構図は、支持者に浸透しているのです。

ファクトはなくても支持される

トランプ大統領は、民主党が支配しているリベラル色の強い大都市について「汚職が蔓延し、市長は刑務所に入っている」と主張し、民主党の行政能力欠如を批判します。

例を挙げてみましょう。トランプ大統領は下院監視・政府改革委員会のイライジャ・カミングス委員長(民主党)の地元選挙区であるボルチモアに言及して、「(国政よりも)ボルチモアの政治の方が腐敗している。カミングスはホワイトハウスよりも、そちらをしっかり監視しろ」と述ベました。念のため触れておきますが、ホワイトハウス監視の任、カミングス委員長の正当な仕事であることは言うまでもありません。

さらにトランプ大統領は、シンシナティでの集会で「ボルチモアはエルサルバドル、ホンデュラス、グアテマラよりも殺人率が高い」と断じた後で、「他にボルチモアよりも殺人率が高い国はありますか」と支持者に質問を投げかけました。

すると、ある支持者が「アフガニスタン!」と叫んだのです。トランプ大統領は「私もボルチモアのほうがアフガニスタンよりも殺人率が高いと思う」と根拠を示さずに述ベて、この支持者に同意しました。

こうした演説から見えてくるのは、トランプ大統領が、「大都市における民主党の行政能力欠如」と「不法移民による犯罪多発」を絡めた、新たな再選戦略に出ているということです。もっとも、米メディアはトランプ大統領のこの戦略に関して「テスト段階である」と報じていますが。