ところが最近の研究で、カブトムシのさなぎは、「振動を発することで、周りの幼虫から身を守っている」ということがわかりました。
カブトムシの幼虫は、落ち葉がくさってできた土「腐葉土(ふようど)」の中で群れをなして暮らしています。初夏になって、十分に成長した幼虫は、地中に「さなぎ室」と呼ばれる、卵型の部屋をつくって、その中でさなぎになります。

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さなぎ室の壁は、糞(ふん)と腐葉土を混ぜたものでつくられています。そのため崩れやすく、周りで群れている幼虫たちに壊されるおそれがあります。
そこで、さなぎは、幼虫がさなぎ室に近づいてくると、背面でさなぎ室の壁をたたいて、幼虫のいやがる振動を起こします。すると幼虫は、さなぎ室をさけて遠ざかっていきます。
このように、さなぎは振動を利用し、「さなぎ室に近づかないで!」というメッセージを幼虫に送って、身を守っていると考えられています。