娘の彼氏は「刺青」入りだった…「根はいい人」という言葉の違和感

私が面会を拒絶した理由
鷹橋 公宣 プロフィール

「根はいい」犯罪者がいる現実

多くの批判的なコメントの中でも特に目立ったのが「刺青があるだけで人物の『中身』まで蔑視するな」といったものだ。

たしかに、私も「刺青が入っている人物がすべて根っからの極悪人だ」とまでは思っていない。刺青が入っていても犯罪経歴がない人はたくさんいるし、刺青が入っていなくても性根から腐りきった悪人はいくらでもいる。刺青の有無だけで人間性のすべてが判断できるわけではないのは当然だ。

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刑事の仕事をしていると、通常の会社員として生活するよりも刺青に触れる機会が多い。街頭での暴行・傷害事件、夫婦間でのDV事案などでは、刺青が入った被疑者を見かける機会が非常に多かった印象がある。

取調べをおこなってきた被疑者の中には、腕や背中だけでなく、顔面、目のまわりにまで刺青を施した者もいた。顔面への刺青は想像を絶する苦痛を伴うだろう。このように聞けば、多くの方が恐ろしいほどの強面を想像するだろうが、この被疑者は笑顔にあどけなさが残る19歳の少年だった。

 

私が取調官に任命され、取調べを通じて事件の概要を探ったが、雑談をする日も多かった。「最近ゴルフを始めてやっとまっすぐ飛ばせるようになった」とか、「親父さんは厳しい性格だが尊敬の対象だ」とか、「気に入っている同年代の女の子がいるがアタックする勇気が出ない」とか……。こんな話を聞かせてくれるとき、その被疑者は必ず満面の笑みだった。

「雑談をする日も多かった」といったが、むしろ半分以上は雑談のような形式で取調べが進められたといっても過言ではなかっただろう。