香港人が本気で「自由」を渇望する一方、日本人を待ち受ける暗い未来

中立思考が日本の言論をダメにする
阿古 智子 プロフィール

香港警察による横暴ぶりは、治安維持を強硬に進める中国の国保(公安部国内安全保衛局)や城管(都市管理員)を想起させる。

彼らは、なけなしの金で都会の市場で屋台を出している、農村出身の貧しい出稼ぎ労働者の屋台を突然取り壊し、売り物や道具を没収してしまう。

地元の警察にも裁判所にも見放され、公正な対応を得たいとばかりに北京にやってきた陳情者は、多くの政府部門、党機関をたらい回しにされた挙句、暴力団のような人たちに連れ去られ、黒監獄(地方政府が北京に勝手に設置した拘禁所)に拘留される。

中国の少数民族、市民活動家、宗教関係者、人権派弁護士、そしてその家族などが置かれている苦境は、香港でも毎日のように報じられている。

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「一国二制度」の下で、香港には高度な自治が保障されるはずだった。しかし、今では香港の警察や司法にも中国政府が介入してきている。

逃亡犯条例が改正されれば、こうした中国政府の介入の一部は合法化されてしまう。香港特別行政区基本法は、2047年には失効する。

その後の香港は、中国に対して何も言えない地域になってしまうのか。「今、行動しなければ、香港は香港でなくなる」という思いが、香港の人たちを突き動かしている。

言論統制が強化されている中国では、政府系メディアの偏った情報ばかりが目立つようになっている。

香港の若い人たちが競うようにしてソーシャルメディアでデモの状況を発信しているのは、中国当局によるイメージの歪曲や事実の捏造を恐れているからでもあろう。

香港の若者たちは、「情報戦に勝つ」ことに並々ならぬ力を入れている中国共産党と、果敢に対峙しようとしているのだ。