土壇場の自由研究にも!「中華麺はなぜ中華麺なのか」掘り下げてみた

秘訣解明でオリジナル中華麺も!?

粥から麺へ

現在、小麦粉から作られる麺というと、中華麺、うどん、冷麦、素麺、またデュラム小麦粉から作られるスパゲッティが挙げられる。

小麦は、栽培が始まった当時は、粥状にして食べられていたものと考えられている。まず、一つの方向性として、小麦粉を練って生地を作ることで、無発酵パンあるいは発酵パンとして食べられるようになった。

また、もう一つの方向性として、生地を小さくちぎって「すいとん」のように食べられていたものが、だんだんいろいろな形状になっていき、最終的に細長い麺になった。

この粥から麺への過程で、人類は食感を求めるようになったと考えることができる。

これらの麺類の中でも、中華麺は独特の食感・風味をもっている。

うどんより濃い黄色み、特有の香り、歯ごたえのある食感といった点が他の麺類と異なる。スパゲッティも黄色みの強い麺であるが、食感や風味という点で中華麺とは明確に異なっている。うどんや素麺もよく見るとうすいクリーム色をしているが、中華麺の強い黄色みはそれらとは異質である。

ラーメンはすでに国民食といってもよいほどありふれているが、ありふれているがゆえに、なぜ上述のような特徴をもっているのか考えたことはないのではないだろうか。

そこで、「中華麺はなぜ中華麺なのか」という、一見哲学的なテーマについて、科学的な側面から解説を試みたい。

【写真】中華麺を考察してみる
  中華麺はなぜ中華麺なのか。科学的な側面から考えてみたい photo by gettyimages

中華麺の誕生

中国には「湯餅」という言葉がある。これはヨーロッパでいえば「パスタ」に相当する言葉で、小麦粉と水をよく練ったかたまりをゆでたものを意味する。

また、包丁で小さく切って、小型の「湯餅」にした「不托」というものがある。「不托」というのはちょっと変わった言葉であるが、「托」は「托鉢」での使われ方と同様、手のことを意味する。もともと手でちぎっていたものを、包丁などで切るようになったため、「手を使わない」という意味で「不托」という言葉が生まれたものと考えられる。

いずれにしても、これらの「パスタ」あるいは「すいとん」の形状から細長く進化した結果として、麺ができたことを示唆している。

小麦はシルクロードに沿って東方に伝播したと考えられている。では、メソポタミア文明ではみられなかった麺が、なぜ中国でいきなり中華麺として現れたのであろうか。

シルクロードに沿って調べていくと、中央アジアで広く食べられている「ラグマン」という麺に遭遇する。これは中力粉に塩水を加えて十分に練り、しばらく寝かせた後、さらに捏ねて作る。うどんと同じ配合・製法である。

ラグマンはカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、東トルキスタン(中国新疆ウイグル自治区)で広く食べられている。

【写真】ウイグル料理の店でラグマン料理をつくる
  ニュヨークにあるウイグル料理の店でラグマン料理に腕を振るう調理人。麺はラーメンのよう photo by gettyimages

このラグマンという語感から、読者はラーメンを想像できるのではないだろうか。実際、ラグマンは中国語の拉麺の語源ともいわれている。こうしてシルクロードを伝わった麺文化は、中国に入ると一気に花開く。

かん水を加えることで、歯ごたえを強くした塩基性の中華麺ができたのだ。

かん水は「鹹水」と書く。鹹湖といえば塩水湖のことである。ラグマンが中国に伝わったとき、たまたま鹹湖の水を使ったところ、歯ごたえのあるよい風味の麺ができたことから中華麺ができたと考えられている。

中国で当初食べられたのは、生地を練って、包丁で切り出して細い線状にする刀削麺だったと思われる。それが、だんだんと積極的に細長いひも状に延ばされていき、現在の麺の形になった。

日本に中華麺が伝えられた時期は、諸説あるが、19世紀江戸後期とされている。わが国で現在のようなラーメン文化が芽生えるのは明治時代になってからである。現在、日本独自の進化を遂げたラーメンが各地で花開いていることは、ここで説明するまでもない。