# 英語

英語をモノにするには「文法を徹底的に」が結局いちばんの近道だった

リスニング、スピーキングにも効果絶大
倉林 秀男 プロフィール

リスニングにも文法は必須

さて、次の英文の意味はどうでしょうか?

Remembering that I'll be dead soon is the most important tool I've ever encountered to help me make the big choices in life.

主語はどこまででしょうか?

ゆっくり考えてみると、

主部:Remembering that I'll be dead soon
動詞: is
補語:the most important tool

という構造が見えてきます。

 

自分がまもなく死ぬだろうということを思い出すことは、最も重要な方法(手段)です、という意味です。文頭にいきなり動詞の-ingが出てきたら、分詞構文か「名詞としてはたらく動名詞」が主語になるものとして考えます。ここでは、後ろにisが出てくるので、soonまでが主部(rememberingは動名詞)だということがわかるわけです。

さらにthe most important tool の後ろに目的格の関係代名詞が省略されています。そして、「help+人+動詞の原形」が出てきて「人が…するのに役に立つ、助けとなる」というどんな教科書にも出てくる表現であることがわかります。また、このhelpの前にはtoが付いているので不定詞です。こうして文法の知識を総動員してこの文を理解しなければなりません。

実は、この英文はスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式でのスピーチの一部です。文字に書き起こされていればじっくり文法を考える時間があります。しかしスピーチなので英文を聞いて、その瞬間に理解をする必要があります。

スティーブ・ジョブズ〔PHOTO〕Gettyimages

では、実際にリスニングをしている間にどのような知識が必要か考えてみましょう。

Remembering that I'll be dead soon isと聞いたら、「やがて死んでしまうことを思い出すことは」という主部だと判断します。そしてthe most important toolと聞けば、「一番重要な手段」だとわからなければなりません。そしてI’ve ever encountered 新たに主語と動詞が導入されたので、関係詞が省略されているな、つまりtoolを説明しているんだなという認識が必要になります。

と、このように、リスニングにおいても正確に意味を把握するためには文法が絶対に必要なのです。「英語が母語の人はいちいちそんなこと考えてないでしょ」と思う方もいるかもしれません。

しかしネイティブでないわたしたちは、まずは文法という「型」を意識できないことには始まりません。「型」をいったん意識的に習得することで、徐々にその「型」を、無意識のうちにバックグラウンドで活発に活動するものに育てあげることができ、英語がきちんと理解できるようになるのです。