# 英語

英語をモノにするには「文法を徹底的に」が結局いちばんの近道だった

リスニング、スピーキングにも効果絶大
倉林 秀男 プロフィール

もう一つは高速道路の入り口で撮影したものですが、これはどうでしょうか?

やはり、「英語らしいけれど英語じゃない」表現が見られます。問題なのは、PEDESTRIANやBICYCLEなどの部分。ある種類のもの全般を指す場合には、普通名詞は複数形で表記しなければなりません。正確にはPEDESTRIANS、BICYCLESでなければならないのです。

誰しもが名詞の語尾に(e)sをつけると複数形になることは知っています。ですが、これを正しく使うことができない。やはり文法の力が不足していると言わざるをえません。たとえば同様に、「猫が好き」をI like cat.と言うと「私は猫の肉が好きです」という意味になってしまいます。猫全般を指すにはI like cats.と複数形の名詞を使うという約束があります。

これまで私たちは学校で文法をたくさん勉強してきたにもかかわらず、ここで示したような誤った英語表現があちこちで見られます。

 

これ、きちんと読めますか?

「英語を読むことばかり勉強してきたので、読むことはできるのに、ちっとも話せない」も、広く流布する言説の一つです。しかしそもそも、本当に英語をちゃんと読めているのでしょうか?

つぎの2つの文の意味をパッと答えられる方は、読む力は身についていると思います。

(1) The old man told the story cried.
(2) The government plans to raise taxes were defeated.

どうでしょうか? 少し難しいと感じた方もいらっしゃるはずです。文法がわかっていなければ、この文を100回音読し、毎日聞いても意味はわかるようにならないでしょう。意味がわからないときに、辞書を調べて単語の意味を繋げ、なんとかそれっぽい意味をでっち上げてしまうことがあると思います。わたしもかつてはそういう学習をしていましたが、結局は読めるようにはなりませんでした。単語がわかったとしても、意味を理解するには文法が絶対に必要なのです。

(1)はtoldまで読んで「老人がその物語を話した」と考えていると、いきなりcriedという動詞が出てきて、あれ? ということになりますね。そのときは一度toldまで戻って考え直してみます。そうすると、toldは過去分詞の形容詞的用法としてthe old manを修飾していることに気がつきます。つまり、The old man ([who was] told the story) cried.「その物語を聞かされた老人は泣いた」という意味になるのです。

(2)の本動詞はどれでしょうか? 「政府は税金を上げることを計画する」と読んだところで、wereが出てきて「主語はどこ?」となりますね。wereの主語になれるのは名詞の複数形ですので、それを探すとtaxesが直前に出てきます。「税が頓挫した」では意味として通じませんのでtaxesを主語にするのは無理そうです。

では、今度は「後ろから」攻めてみましょう。taxesは、to不定詞の部分に用いられている他動詞raiseの目的語ですね。この不定詞が何用法であるかを考えてみましょう。これが名詞的用法であれば(The government plansの部分は放置しておいて)were defeatedの主語になれるのですが、残念ながらto不定詞は単数扱いなので、wereで受けることはできません(仮定法だとしたら可能性がありますが…)。

このto不定詞は形容詞的用法で、直前の名詞を修飾しています。実はplansは動詞ではなく、「計画」という意味の名詞であり、the government plans to raise taxesで「税金を上げるための政府の計画」→「政府の増税計画」という意味になっているのです。つまり、この文は「政府の増税計画は頓挫した」という意味を表しています。

これら2つの文のように、前から素直に読んでくると、文の構造がわからなくなってしまうような文のことを専門的には「袋小路文」といいます

外国語を理解するためには、その言語のシステムである文法を理解していなければ、ことばによって伝達されるメッセージを正確に理解することができません。しかし、文法や構造を把握しながら意味を理解していく方法は、最近の英語学習では毛嫌いされてしまう傾向があります。ですが、上の案内表示の例などを見ればわかるとおり、ビジネスシーンなどでまともに通じる英語を習得しようとすれば、結局は文法が必要になるのです。