悪質すぎる「あおり運転・暴行事件」はなぜ起きたのか?加害者の心理

悲惨な事件を防ぐ「治療法」は存在する
原田 隆之 プロフィール

海外の研究

実は、こうした危険運転の増加は日本だけの現象ではなく、世界各国で見られる現象である。アメリカでは、この10年で5倍に増加しているとの報告がある(2)。ざっと論文を検索しても、アメリカ、カナダ、フランス、デンマーク、トルコ、中国など、世界各国からの論文が見つかる。とはいえ、まだまだ研究は多くない。

これらの研究では、危険運転(いわゆるroad rage、路上での逆上)の原因として、いくつかの点が指摘されている。

 

まずは、やはりパーソナリティの問題である。たとえば、自己中心性、ナルシシズム、衝動性、易怒性、感情統制力欠如、攻撃性などの「ダーク・パーソナリティ」が挙げられている(3)。

あるいは、彼らの「認知のゆがみ」が顕著なことを指摘する研究もある(4)。これらの危険運転に出る者は、他者の何気ない行動に「敵意」を感じやすいのだという。たとえば、相手が車線変更しただけで「邪魔をした」と感じたり、追い抜かれただけで「馬鹿にされた」などととらえてしまったりする。

また、そもそも「感情はコントロールできるものだ」「コントロールすべきものだ」という認知を抱いていないため、瞬間湯沸かし器的に感情を爆発させ、粗暴行動に直結してしまうのである。

とはいえ、「車に乗ると性格が変わる」と言われたことがある人は、案外多いかもしれない。それはおそらく、車内の匿名性ゆえに、粗暴な言動に出てしまいやすくなるということが原因として挙げられるだろう。

車の中でだと相手に聞こえないし、顔も見えないので、ノロノロ運転、割り込み、マナー違反などの車があると、面と向かっては言わないような暴言を思わず言ってしまうのである。