悪質すぎる「あおり運転・暴行事件」はなぜ起きたのか?加害者の心理

悲惨な事件を防ぐ「治療法」は存在する
原田 隆之 プロフィール

これらのことからわかるのは、彼らには通常の恐怖心や危機意識が欠如しているということだ。

これは粗暴犯罪者に多い特徴であり、普通の人なら恐怖や不安を感じる状況にあっても、それらにきわめて鈍感で、心拍数が上昇したり、身がすくんだりするという生理学反応が生じない。これは粗暴犯罪者の自律神経系の異常を示唆する特徴として注目を集めている(1)。

したがって、このような危険なことが平気でできるし、普段から猛スピードでの運転、シートベルトの不着装、頻繁な路線変更、飲酒運転などの危険運転を日常的に行っているのではないかとの推測もできる。

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さらに顕著な点は、そのパーソナリティの特徴である。両者とも、些細なことでカッとする易怒性や、怒りのコントロールができない統制力欠如、すぐに手を出してしまうような衝動性などが顕著である。

加えて、目先のことしか考えられず長期的に物事を見ることができない「現在指向型の時間展望」という特徴も有している。これは、両者とも事件後にその場を立ち去ったり、逃走したりしている点から明らかである。これらはいずれも、「反社会的なパーソナリティ特性」としてまとめることができる。

 

ほかにも、危険運転以外のルール無視も平気で行っていたという点も共通している。

今回の加害者は、ディーラーから代車を借りてあおり運転を繰り返していたとのことであるが、代車の返却期限がきても、それを無視して乗り続けていたという。ほかにも、近隣トラブルがいくつも報じられているうえ、過去に逮捕歴があるとの報道もある。

このように、これだけ悪質なあおり運転というのは、そもそも暴力的、犯罪的な特徴を有していた者が、その場の状況に反応して起こした卑劣な犯罪であって、けっして突発的、偶発的な犯罪ではないと考えられる。