投資のプロがこっそり儲けている「高リスク・低PER投資」の凄み

「高クオリティ投資」も効くが
大川 智宏 プロフィール

極端な高PER株」と「相対的に高リスク・割安株」

ただし、腑に落ちない点がある。

国内の投信市場に目を向ければ、いまだに「バリュー型」または「割安株」と銘打った投資信託が数多く存在している。投信協会の「投信総合検索ライブラリー」で割安株系の投信を検索すると、相当の数が該当する。

そして、ここで発想の転換をしてみたい。今の日本株市場では、割安な銘柄よりも割高な銘柄の方がリターンは良い。

しかし、投資家の観点では、「あえて割高な銘柄を買う」という行為に正当性はなく、質の高い銘柄を買い続けた結果として保有銘柄が割高化した、というのが正確だ。質さえ高ければPERの水準を気にしないうえ、真に質の良い銘柄の数は限られるため、極端な高PER銘柄でも資金が偏りやすい。

また、彼らは当然質の悪い低PER銘柄には見向きもせず、一部が空売りの対象になるくらいである。そして、彼らのこの投資スタイルは、今の日本株市場で圧倒的なシェアを有する。

 

一方、一般的な公募投信は、厳格な運用規定に基づいて、高い利益予想に対して大幅に割安化した高リスク銘柄を拾い続けていると想定される。戦略の分散やヘッジとしての需要も存在することもその一因だろう。

この前提に立つと、割安、割高の判断指標としてのPERで銘柄群を分割(バリュー分断)することで、ある仮説を導くことができる。

図:バリュー分断のイメージと効果

拡大画像表示出所:智剣・Oskarグループ

その仮説とは、「高PER化した銘柄群」は、クオリティ投資偏重で、かつ割安株投資側からの空売り圧力は小さいために極端な高PER株が買われやすい。一方、「低PER化した銘柄群」は、全体としてクオリティ投資家から売られやすいが、わずかに残存する割安株投資家の極端な低PER株買いで、相対的に高リスク・割安株が優位になりうる――。