投資のプロがこっそり儲けている「高リスク・低PER投資」の凄み

「高クオリティ投資」も効くが
大川 智宏 プロフィール

買われ続ける「高クオリティ銘柄」

昨今よく耳にする「クオリティ投資」はその象徴で、クオリティはリスクと対局の概念だ。低リスクで、財務の質の高い銘柄へと資金が流れ込み続けているのが今の株式市場だ。

そして、この「昔は割安株投資が効いていて今は機能しない」ことを端的に、かつ論理的に示す衝撃的なデータを紹介したい。

図:PERとネット負債比率の投資効果

拡大画像表示出所:Datastream

この図は、単に先ほどのPER」と「ネット負債比率の投資効果」を合わせて表示しただけだ。

「ネット負債比率」は、有利子負債から現金同等物を減じて資産総額で割ったもので、この値が正であれば資産のうちで負債が現金よりも多く、負であれば負債よりも現金が多いことになる。そして、それを基にした投資効果がプラスに出れば、高負債の銘柄、つまり一般に財務の質の悪い銘柄のリターンが良く、マイナスに出ると高キャッシュの質の良い銘柄が買われていたという解釈だ。

 

これを踏まえて再度図を眺めると、2000年から2007年前後までの割安株相場では、ほぼ同じようにネット負債比率の投資効果もプラスの推移を続けていた。言い換えれば、高負債銘柄の上昇が、当時の強烈な割安株相場の正体の一部である。

事業・設備投資などのために多額の借り入れをし、その大きなリスクと引き換えに期先の成長期待を得て上昇していたことに他ならない。その意味で、低PERと高負債は切っても切れない縁があった。

しかし、それが金融危機以降は、PERが投資効果を失うと同期して、過去10年程度延々と高クオリティ(負債が少なく現金が多い)銘柄が買われ続けている。

つまり、高負債を抱える「ハイリスク・ハイリターン期待」の銘柄は、割安でも何でもなくただの危険な株としか見なされない。割安株投資など過去の遺物だ、というのが現在の常識だ。