2019.08.19
# 中国

大混乱の香港を国際社会は救わない…いま世界が陥る「深刻な危機」

嫌でも武力鎮圧から逃げられない習近平
津上 俊哉 プロフィール

「第2の天安門事件」にはならない

いま解放軍が香港に進駐して抗議運動を鎮圧すれば、「第2の(少なくともミニ)天安門事件」になるという見方が強い。

30年前に起きた天安門事件で、西側諸国が結束して中国に国際的な制裁を課して、中国が孤立したことを想起してのことだ。しかし、そうはならないのではないか。

いっときはそれに近い情勢が生まれるかも知れない。しかし、まず習近平執行部がそれで鎮圧をためらうことはないだろう。

先述したように、手荒な真似に出る前に抗議運動が終熄してくれるのがベストだ。しかし、天安門事件後の国際的孤立だって数年で跳ね返したのだ。

 

中国共産党内の大勢が「抗議運動が一線を越えた」と判断するとき、習近平政権が「いっときの孤立」を怖れて鎮圧の決断を下せなかったら、今度は習近平が党内で「退場せよ」の圧力を受けるだろう。

「第2の天安門事件」にならないと思うのは、「西側」の力と影響力がこの30年の間に相対的に大きく落ちたからだ。

欧米の中でもポピュリズムで力を得た専制型指導者があちこちで誕生するなど普遍的価値観の異物が膨張しつつある。「普遍的価値観」を取り巻く世界情勢は、我々がぼんやり感じているよりも、よっぽど危機的なのではないか。

空港を占拠した若者達を見て胸が痛くなった。彼らが空港を選んだのは、ほかでもなく国際社会に香港の現状を訴えて支援を得るためだろう。

ほんとうに申し訳ない。

いまの世界には、君たちと自由な香港のために身体を張ってでも助けに行く人はいないのだ。

甘言を信じちゃダメだが、自暴自棄もダメだ。自重してほしい。

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